By 佐々木 志峰
シアトル地域で街の姿が大きく変わっていくようだ。イーストサイドでリンク・ライト・レールが開通。4月27日にベルビューとレドモンドを結ぶ約7マイル、8駅が稼働を始めた。路線地域を称し、「テック・トレイン」との書き込みがソーシャルメディアで見られた。
来年初めにはレドモンドのダウンタウンまで延長される予定で、シアトル−ベルビュー間は同年後半の開通見込み。レイク・ワシントンをまたぐことで利便性が増し、さらなる利用者が見込まれる。そのほかには、今年8月末、北を走るショアラインからリンウッドへの路線が開かれるという。
26年には米国、カナダ、メキシコの3カ国で開催する男子サッカーのワールドカップが待ち受けており、シアトルで6試合を行う予定。昨年のMLB、大リーグ・オールスターの開催時もそうだったが、一大行事には優れた公共交通機関の存在が欠かせない。筆者も利用させてもらった。キング郡南部を走るフェデラルウェイへ向けた路線延長は遅れているが、無事に広がりを見せてほしい。
変化し続けるシアトル地域だが、日系コミュニティーと日本の関係は変わらず深く根強い。日本時間4月29日、日本政府による春の叙勲受章者が発表された。それを受け在シアトル日本国総領事館は、当地における江戸前寿司のパイオニアとして名を広げた加柴司郎氏が、旭日双光章を受章することを公表した。「米国における日本食文化の普及及び次世代の日本食調理人の育成に大きく寄与」と叙勲の功績に記されている。
編集部在籍時代は、毎年この時期が近づくと次の受勲者を想像したものだった。有力なコミュニティー関係者が続々と受章し、「いよいよあの人が。どんどん候補者が少なくなり、いつかいなくなってしまうのでは」といった話が社内で挙がったことを思い出す。その後の日本文化の浸透や注目の高まり、そして日系社会の取り組みを考えると、認識不足でただ視野が狭かったのだと、今では思う。
一方で当時活躍の関係者が次々と受勲していくのは、コミュニティーの姿が確実に移り変わっていくことの表れでもある。祝福とともに、寂しさも入り混じる