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フロム・ヒロシマ・トゥー・ホープ オンラインで75年前の原爆投下を考える

毎年当地で行われる平和イベント「From Hiroshima to Hope」が、オンラインイベントとして8月6日に行われた。毎年は市内グリーンレイク湖畔で行われる毎年恒例の灯篭流しに代わって、今年は「Seventy-Five Years and Counting: From Hiroshima to Hope」と題するオンライン動画がユーチューブで配信された。

37分の動画は、シアトル日系アメリカ市民連盟(JACL)の代表でフロム・ヒロシマ・トゥー・ホープの運営を長年に渡って続けてきたスタンレー・シクマさんがホスト。シアトル古今太鼓の演奏、シアトル広島クラブが2010年に録画したシアトル在住被爆者の体験談の映像に続いて、3人の女性活動家ががメッセージを届けた。

最初に登場したのは、劇作家のニッキー・ノジマ・ルイスさん。ニッキーさんは、広島で被爆したマシロ・サラナガ氏のが国連で行ったスピーチを朗読した。続いて、フロム・ヒロシマ・トゥー・ホープ創立者のマーサ・ブライスさんが、核戦争の恐怖が迫っていた80年代に同イベントを始めた理由について言及。「我々のシアトルのコミュニティーにふさわしい、多様な文化が混ざり合うイベントとして開催したかった。核兵器廃絶への取り組みだけではなく、より幅広い問題意識として、非暴力の実行を人々に伝えたかった。年齢を重ねたが、このイベントが私の世界の一つとして成し遂げることができて嬉しい」と語った。

最後にはアーティストのカレッタ・カーリントン・ウィルソンさんが登場し、黒人コミュニティーと核兵器反対運動について解説した。「マーティン・ルーサー・キング牧師、マルコム・エックス、トニー・モリソン、アリス・ウォーカーなど多くの黒人活動家らが広島と長崎への原爆投下を、人種差別と植民地政策による苦しみとを関連づけてきました」と語った。

今年は、広島長崎原爆投下から75年。1984年から続く同イベントも、コロナ禍で初のオンライン開催となった。シアトルの夏の風物ともなっていた美しい灯篭流しが見られなかったのは残念だが、75年前の原爆投下を振り返り、現在につなげるイベントとなった。動画は、フロム・ヒロシマ・トゥー・ホープのウェブサイトから再生できる:http://fromhiroshimatohope.org

  (N・A・P)

N.A.P. Staff
北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。