1年を通じてデイライト・セービング・タイムを採用する法案が5月7日、ワシントン州上院で可決され、ジェイ・インズリー州知事がこの法案に署名した。しかし、現状の標準時間ではなくデイライト・セービング・タイムに統一するには連邦政府による許可が必要になる。このため、実際に施行されるのは数年先の春からとなる見通しだ。
デイライト・セービング・タイムとは、日照時間が長くなる3月の第3日曜日から11月の第1日曜日までの間、標準時間より1時間進めることを指す。自然光の利用による電力節約などを目的として、アメリカではアリゾナ州とハワイ州を除く全州で採用されている。時刻変更を伴う現制度の中止を求める議論はアメリカ各州で近年盛んになっており、カリフォルニア州やオレゴン州などでもデイライト・セービング・タイム通年採用の法案が可決されている。
デイライト・セービング・タイムによる影響を長年研究しているワシントン大学法学部のスティーブ・カランドリロ教授は、安全、犯罪、エネルギー、経済、健康の5項目でメリットがあるとワシントン州議会で説明。デイライト・セービング・タイム通年採用の法案を支持する証言をした。一方で懸念の声も上がっており、これまで標準時間とされてきた冬時間にこそ、より顕著な影響が現れるという予測もある。たとえば冬至の時期、日の出が午前9時近くと遅く、その分日没は午後5時20分頃になるため、朝の暗い時間帯に子どもたちが屋外に出ることになる。朝の太陽光と同調する人間の体内時計が狂えば、健康への悪影響の恐れもあり、特に季節性うつ病の患者には大きな影響が出ると考えられる。デイライト・セービング・タイム通年採用の実現を前に、このような変化や影響に応じた対策も議論が進められるべきだろう。
(坂元小夜)