By 佐々木 志峰
2023年も終わりを迎えようとした12月に駆け巡ったビッグニュース。野球の大リーグで大谷翔平選手がロサンゼルス・ドジャースとの契約を発表した。10年で7億ドル。年平均7000万ドルは北米スポーツ史上最高額。金額の規模はサッカーのメッシ選手が2017年に結んだ契約額を抜き、スポーツ界史上最高額となる。
臆測が駆け巡った数カ月。特に土壇場での駆け巡りはすごかった。契約が間近との報道が出ると、大谷選手の自宅に近いアナハイム近郊の空港から、カナダ・トロントに向かうプライベートジェットに注目が集まった。トロントの空港で待ち受けるメディアもあったが、結局、テレビでも名の知られたカナダの実業家が乗っていることが判明。翌日、大谷選手は自らのソーシャルメディアで、誰に先を越されることなく決断を明かした。
ワールド・ベースボール・クラシックで日本チームを引っ張り、最後は抑えとしてマウンド上で試合を締めて世界一を手にした。シーズン中も投打の二刀流として活躍し、終盤は故障に見舞われたが日本選手として初めて本塁打王を獲得。ア・リーグ最優秀選手に選ばれ、史上初めて2度目の満票受賞を果たした。契約先を巡っての狂騒を経て、史上最大の契約へ。まさに頂上に上り詰めた1年だったろう。
日本から渡って来た6年前、最初のチームとしてロサンゼルス・エンゼルスを選んだときのように12月は重要なひと月となった。あとは所属チームでの優勝、ワールドシリーズ制覇が残る。もちろん、これを達成されると我らがマリナーズの宿願を阻まれることになるのだが――。
夏の最中だった7月。今年当地で最大のイベントだったとも言えるオールスター戦が行われた。ハイライトは間違いなく大谷選手。打席に立つ姿に送られた「カム・トゥ・シアトル!」の大合唱は記憶に強く残っている。残念ながらそれは実現しなかった。
来季の日程を見ると、マリナーズはドジャースと8月に対戦するが、試合地はロサンゼルス。シアトルでは当分プレーを見る機会はない。もしくは両チームがプレーオフを勝ち進んで頂点でぶつかるとき。そんな期待も来年に向けてみたい。