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記念碑への嫌悪

南北戦争の南部連合の記念碑の是非を発端としたシャーロッツビルでの事件。火に油を注いだトランプ大統領の発言もあったが、人種偏見グループは言うに及ばず、過激な行動、言動に動いてしまう最近の様相に衝撃を受け続けている。
南部連合の記念碑は全米各地に多数点在するという。BBCの記事によると、平等な市民権が確立されてきた19世紀後半から20世紀前半、公民権運動が活発になった時期に多くが建てられた。
これまでほとんど話題にもあがらなかった関連記念碑の存在が、地元メディアでも報じられた。日系人墓地があり、第二次世界大戦の日系戦没者碑もあるレイクビュー墓地内には、南北戦争での南部連合戦没者の碑が1926年に建てられた。
エド・マレー市長は「奴隷制、そして肌の色を基準に迫害してきたこの国の忌まわしい歴史を象徴する像や旗は撤去されなければならない」との声明を発し、南部連合戦没者碑に加えて市内フリーモントにあるレーニン像へも懸念を見せた。事件を発端に各地で関連記念碑が取り壊されているが、マレー市長も活動に賛同を表明した形だ。騒ぎを受け、16日の1日間、同墓地は閉じられた。
一般的には奴隷制度が南北戦争の原因と理解され、その歴史的見解から関連記念碑へ多くの人が嫌悪感を見せる。一方で、米国の一部である南部の歴史、文化との主張もあるとされる。世論調査では、約6割が像を維持すべきと答えたとある。問題は、一連の像や旗が歴史的な象徴物の意味を超え、人種差別主義者の拠り所、「旗印」となっている点にある。
歴史は片面だけでなく、見方でさまざま変わる。ただ崇高な趣旨、思い、歴史が、時間とともに偏った理解で扱われることは防ぎたい。そのためにも継続的な啓蒙が、対外理解浸透を図りたい我々マイノリティーには特に重要となる。
当地では27日に女子バスケットボール、シアトル・ストームのジャパンナイトが開かれる。ベルビューでの太鼓フェスティバルも10月開催の旨が発表された。そのほかの大小の関連行事を通じ、コミュニティー内のみならず、外とのつながりに注力したい。
(佐々木 志峰)