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ウイング・ルーク博物館で「What’s in your Cup? – Community-Brewed Culture」展

全米で唯一の環太平洋アメリカン・ミュージアムとしてスミソニアン博物館と提携しているウイング・ルーク博物館が、2017年10月13日から2018年9月16日まで、「What’s in Your Cup?」展を開催。「人が集まるときに出される飲み物はアジア人にとってどんな意味があるのだろう」「環太平洋を含むアジア諸国の文化ではどんな飲み物を出すのだろう」と、飲み物をテーマに1年以上かけて調査した結果が、100枚以上の写真、映像、その他の展示物によって明かされる。日本、台湾、中国、インド、フィリピン、ミャンマー(ビルマ)など、それぞれの国、文化の特徴としての飲み物がどのように確立されてきたか、興味深い内容だ。

展示物は、プランテーションで働く農民、結婚式の儀式、飲み物の作り方や味わい方、ティーハウス、カラオケの体験など、多種、多彩にわたる。日系での展示は、創業300年の伝統を持つ福島県の冨沢酒造の震災後の葛藤、インターナショナル・ディストリクトで1953年からコミュニティーの集まりに使用されていたレストラン兼カラオケ・バーの武士ガーデン、スターバックスで海外輸出に向け市場の嗜好に合わせる職務を担ったコウイチ・キタズミ氏などを紹介している。

「飲み物がコミュニティーをつくる」という発想から生まれたこの展示は、農作物がアジア諸国の経済の大部分を占め、それに伴う労働者の実態にも触れている。英国による植民地化、オランダがインドネシアで進めた奴隷化、ハワイのコーヒープランテーションでの労働問題、ビール産業やホップ農場での人種差別などの映像も観られる。

たかが飲み物、されど飲み物。社会問題にまで広がる「飲み物」が持つ重要性が、どのように展示されるか期待される。詳細はウェブサイトまで。

(天海幹子)

編集ライター。金融機関で勤務の後、留学のためシアトルへ。毎日の小さな「オモシロイ」を求めて日々シアトルを探索中。テクノロジーの町にいながらアナログを楽しむ関西人。