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ジュリー・オオツカ著『あのころ、天皇は神だった』ブック・イベント

ジュリー・オオツカ著『あのころ、天皇は神だった』
ブック・イベント、3月には著者も登場

キング郡図書館システムはこのほど、シアトル・パシフィック大学およびハイライン・カレッジとの協同 で、ジュリー・オオツカ氏の著作『When the Emperor was Divine』(邦題『あのころ、天皇は神だった』)を取り上げるシリーズを開始した。これは、全米芸術基金の「Big Read」プログラムの一環として催されるもので、作品は日系人の強制収容を題材としたフィクション。イベント最終回の3月9日には著者も登場する。

戦後、アメリカに移住した父と日系2世の母の元に、カリフォルニア州で生まれ育ったオオツカ氏は、イェール大学とコロンビア大学で美術を学んだ後に、歴史小説の執筆を開始。2002年に発表された本作と2011年に発表された2作目『The Buddha in Attic 』(邦題『屋根裏の仏さま』)は、いずれも日系史に題材を取っているが、読者をつかんで離さないその力強い筆致で高い評価を受け、ベストセラーになった。作品は日本語のほかフランス語、ドイツ語などにも翻訳されており、これまでアレックス賞(アメリカ、2002年)、ペン/フォークナー賞(アメリカ、2012年)、フェミナ賞外国小説部門(フランス、2012年)などを受賞している。

毎年2月は、日系コミュニティーで「デー・オブ・リメンバランス」として、大戦中に大統領令9066号に基づいて行われた日系人強制収容に対する抗議の意思を再確認する月となっている。今はまた、日系以外のコミュニティーにも同じことが繰り返されてはならないという意味で、日系人収容を語り継ぐことにいっそうの意義が見い出されている。

シリーズは、講演「(小説の背景となった)その時代に当地では……」(2月22日、ケント図書館)、読後感想会(同24日、ハイライン・カレッジおよびデモイン図書館)、講演「収容所内部で起きた抵抗」(同27日、ハイライン・カレッジ)に続き、3月9日の午後1時半から3時までには著者をハイライン・カレッジのBuilding 7にて迎え、『あのころ、天皇は神だった』の朗読や、ディスカッションを行う。参加費は無料だ。なお、キング郡図書館システム内の本は現在全て貸し出し中で、順番待ちが100人以上となっている。

(楠瀬明子)

福岡県出身。1988年から99年まで北米報知編集長。