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新型コロナウイルス接触通知ツール、ワシントン州全域で運用開始へ

ジェイ・インズリー知事は11月30日、新型コロナウイルス接触通知ツール「WA Notify」の州内における運用を発表した。同ツールをスマートフォンにインストールすると、過去2週間に新型コロナウイルスの陽性者と接触していた場合、通知が届く。

WA Notifyには、グーグルとアップルが共同開発したプライバシー保護技術が使われており、ユーザーの位置情報や個人情報が収集されることはない。「匿名性が確保されているこの技術は、ワ州住民にとって非常に重要なツールです」とインズリー知事は会見で述べた。

オックスフォード大学とスタンフォード大学の調査では、こうした通知ツールについて、利用者が多いほど感染拡大を抑制する効果が高くなると実証されている。「WA Notifyの利用は、マスク着用やソーシャル・ディスタンスの遵守など、既に実践している対策を補完することになる」と、会見に同席したジョン・ウィーズマン公衆衛生局長も利用を推奨した。

WA Notifyの利用は無料。iPhoneの設定で通知をオンにするか、Android搭載スマートフォンを使っている場合はGoogle Playストアでアプリをダウンロードして使う。利用はいつでも停止できる。WA Notifyを有効化したスマートフォンを持ち歩くことで、近くにいる他のWA Notify利用者のスマートフォンとBluetooth通信によって無作為のコードが交換される(個人情報や位置情報は特定されない)。その後、新型コロナウイルスの検査で陽性と判明したユーザーが、公衆衛生局から提供される認証コードをWA Notifyに入力すると、過去14日に遡って、この陽性者の近くにいたユーザーに通知が送られるという仕組みだ。

「近年、データの追跡や個人情報の流出に不安を感じている人は多い」と、ワシントン大学のステファノ・テッサロ准教授。「しかし、WA Notifyで使われている技術は世界中のセキュリティおよびプライバシー保護の専門家からお墨付きを受けています。私も使う予定ですし、家族や友人にも勧めるつもりです」と続ける。

WA Notifyの運用開始に先立ち州政府は、セキュリティや人権の専門家、さまざまなマイノリティー・グループのリーダーたちも加わった監視委員会からの勧告を受け取っている。

(シュレーゲル京 希伊子)

シュレーゲル 京 希伊子
フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書などを経て、国連大学の持続可能な社会の構築をめざす産官学イニシアティブに従事。2014年からシアトルへ戻り、日本語イマージョン小学校に通う一人娘を育てながら、 ITから文芸まで幅広い分野の翻訳をてがける。主な訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』トム・ホイールライト著(筑摩書房)など。ワシントン州の他に、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダなどに居住し、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、料理、読書。