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シアトル・ウォーターフロント再開発 ジェニー・ダーカン市長が新法案を提出

シアトルのジェニー・ダーカン市長が1月3日、ウォーターフロント再開発の資金調達に関する新法案を市議会に提出すると発表した。同再開発は「ウォーターフロント・フォー・オール」とも呼ばれ、港湾沿いを走るアラスカン・ウェイ高架橋を撤去後に、約20エーカーのパブリック・スペース、パイク・プレース・マーケットとシアトル・ダウンタウンを結ぶ遊歩道を建設するというもの。工事の総予算である約7億1,100万ドルをめぐり、その資金調達方法が議論されていた。

新法案には、再開発地区にあるコンドミニアムや商業施設などの所有者に課税する内容が含まれている。課税は「再開発により不動産の価値が上がるため」としているが、これまで市と課税対象の不動産所有者たちとの間で衝突していた。数カ月に渡る両者の話し合いで、ダーカン市長は資金の使途や再開発内容を明らかにし、合意に至ったとしている。課税の内容は、住居施設の所有者は年間96ドル、商業施設の所有者は年間300ドルで、いずれも20年間の支払い期間となっている。これにより、最終的に1億6,000万ドルの資金が調達できる見込み。

残りの建設資金は、地元慈善事業団体からの1億1,000万ドルと、シアトル市が負担する2億4,800万ドルでまかなう。またワシントン州は、同工事が貨物輸送と港湾のインフラ整備強化の一環になるとし、1億9,300万ドルの提供を約束した。法案が議会を通過すれば、2019年に建設が開始される予定だ。

「この再開発により、シアトル市は新たな発展を遂げることになる。工事が完了すれば、ウォーターフロントとダウンタウンが密につながり、市民に新たな憩いの場を提供できる」と、ダーカン市長はプレスリリースでコメント。公園建設をサポートする非営利団体、フレンズ・オブ・ウォーターフロント・シアトルのマギー・ウォーカー会長は「行政や地元団体などあらゆる関係者の協力によって公園建設は実現できる」と述べ、アラスカン・ウェイ高架橋撤去後の新しい景観へ期待感を表した。

ウォーターフロント再開発の詳細は、ウェブサイトに掲載されている。2011年から始まった同再開発に関連する会議やワークショップには、これまで1万7,000人以上が参加し、7,000を超える意見が寄せられたという。

(文:窪田進一朗、写真:小林真依子)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。