シアトル市のティム・バージェス市長は、任期最終日の11月27日、ホームレス問題対策の一環として約3,400万ドルの助成金予算を発表した。市の保健福祉を担うヒューマン・サービス・デパートメント(HSD)が、路上生活者に住宅施設を提供する市内の非営利団体を援助するための行政予算を市議会へ申請していたものが承認された流れだ。助成金は、HSDが選別した30のホームレス支援団体へ振り分けられる。HDSの計画に基づいて助成金申請した57団体が住宅施設提供プログラム内容を提案し、HDSが各団体の実績や提案内容を審査したうえで30団体が選ばれた。一連のプログラムによって、2018年には、本年の倍以上の路上生活者を住宅施設へ定住させることを目指す。
シアトル市が2017年に実施した調査によれば、市内の路上生活経験者は8,746人にのぼり、2017年時点での路上生活者は3,857人。路上生活に陥った理由として、失業、薬物依存、身体的不自由などのほか、家庭内暴力被害から逃れるために路上生活を始めたケースもある。
これまで路上生活者の受け入れとして設置されてきた「シェルター」と呼ばれる施設は、滞在期間が一泊に限定されたり、床にマットを敷いた簡易ベッドだったり、ベッド数に限りがあるなどの限界があった。今回選別された支援団体の多くは「エンハンスド・シェルター」と呼ばれる、24時間365日の滞在が可能な恒久的な住宅施設の提供を目指していく。
「路上生活者が恒久的な住居に移ることで、安定した生活の実現に向けたきっかけを提供する」とティム・バージェス市長は、市のプレスリリースでコメントを述べた。ティム・バージェス市長は11月27日をもって任期を終了し、11月28日から新市長であるジェニー・ダーカン氏が就任している。
(小林真依子)