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ワシントン州内学校の水道水から高い割合の鉛が検出

 

非営利団体エンバイロメント・ワシントンは2月22日、ワシントン州内学校の60.8%の水道から、目安とされる1ppbを超える鉛が検出されたとレポートを発表した。環境保護に取り組む同団体が、2018年初めから調査を行っていた。対象となったのは、プリスクールを含む199校に設置されている全ての水道。

水の鉛汚染と体内蓄積による中毒被害は、全米各都市でも深刻な問題となっている。鉛は、子どもの成長や学習能力、行動に影響を与え、知能指数(IQ)低下につながる可能性があると言われている。ワシントン州では数年前から、州内水道水の安全性について問われていた。学校のみならず家庭へも、鉛の入った水道水が供給されている可能性があるとし、2016年5月2日にインズリー知事が調査命令を出していた(Directive 16-06)。これまで、州内水道管と水質の調査が継続的に行われてきた。

昨年州保健省が行った調査では、シアトル学区からは4校、ベルビュー学区からは1 校が参加。その全ての学校において1ppbを超えるサンプルが複数あったと報告された。とくにシアトル学区のホーソン小学校では、1箇所の水源から連邦政府の規定する安全のための最低基準値である15ppbを大きく上回る31ppbの鉛が検出された。

米国小児科学会(AAP)によると、飲料水として水道水を飲む場合、「安全基準値」は特に子どもへは当てはまらないとし、教育機関に警鐘を鳴らしている。また、全米で2,400万人超の子どもが、少量の鉛によるIQ低下の危機にさらされているという。ウィスコンシン州で行われた学生を対象とした調査では、微量でも血液中から鉛が検出された生徒は、そうでない生徒と比べ、読解と数学のテストでより低いスコアを示した。

以上の背景から、安全基準値未満であった学校も安心はできないという。事態を受け州議会は、学校内飲料水の鉛汚染から子どもたちを守る州法「HB 1860」を提案している。同法律は、安全基準値の1ppdを超えないよう、学校が校内の水道管を入れ替えたり、鉛を取り除くフィルターを取り入れたり改善措置を取ることが定められている。

ワシントン州内学校全体の詳細な調査結果は州保健省のホームページから確認することができる。また、シアトル学区では、鉛以外も含む、詳細な水質調査結果を独自に発表している

(加藤 瞳)

Hitomi Kato
東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ・メディア・スタディーズ修士課程を経て、2019年より北米報知社編集スタッフ。元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。現在 シアトルまでフェリーで通勤中。