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国際農業者交流協会米国支部が55年の歴史に幕

国際農業者交流協会米国支部が閉設
ビッグ・ベンド・コミュニティー・カレッジが日本人農業研修生事業を継承

1965年から続く国際農業者交流協会(JAEC)米国支部が、今年3月末に、55年間にわたる歴史に幕を閉じた。日本人農業研修生事業(JATP)の米国派遣を毎年6月に受け入れてきた米国支部は、1966年からシアトルに所在し、これまでに5000名を超える農家を志す若者を日本から受け入れてきた。JATPは今後も継続され、ビッグ・ベンド・コミュニティー・カレッジが米国側の受け入れ手配などを引継ぎ、東京にあるJAEC本部と協力して運営されていく。新型コロナウィルスの影響で、今年3月からの渡米を予定していた55回生は渡航延期となっており、今後のスケジュールは未定だ。

日本から米国への農業研修派遣制度は、農業従事者のカリフォルニア州内農業への3年間の派遣とうい形で1956年にカリフォルニア農業研修生派遣制度として始まった。1965年に米国側の法改正などを理由に同派遣が終了したが、これを引き継ぐ形で、6カ月間の大学での学習と18カ月間の農業現場での実習を組み合わせた農業研修生米国派遣事業が日米政府の合意に基づいて成立(2006年からは研修期間は18カ月間に)。その運営団体として、JAECの前身である社団法人農業研修生派米協会が発足した。最初の基礎学習を受け入れる大学がワシントン州モーゼス・レイク市のビッグ・ベンド・コミュニティー・カレッジに決まったため、協会の米国支部が1966年からシアトルに所在。プログラムの第1回生165名が1966年6月に渡米して以降、今年の渡米を予定していた55回生までを含める5135名が米国支部の運営の下でJATPに参加してきた。

米国支部長を務めてきた吉永巧(たくみ)さんは、1980年に農業研修生派米協会の職員となってから、1982年から1987年、1992年から2006年、2011年から2020年、総計28年にわたって米国支部で務めてきた。自身も、1978年から1980年までの第13回派米農業研修生としてプログラムに参加した経験を持つ。長い米国支部勤務期間で、約2600名の日本人研修生を受け入れ、米国側では農場主や大学のホストファミリーなど約800名と関わってきた。同紙でも、1990年代には米国支部の協力で月1回の連載としてJATP研修生からの記事が掲載されていた。「残念ながら、3月31日で国際農業者交流協会米国支部は55年の歴史の幕を閉じました。シアトル日系コミュニティーの皆さまには、この間に研修生の引受農場主であったり、プログラムの支援者であったりといろんな形でのサポートをいただきました。誠にありがとうございました。プログラムそのものは今後も続きますので、今まで通りの暖かいご支援をお願い致します」と、吉永さん。米国支部閉設にあわせてJAECを退職したことから、日本への帰国も視野に入れている。