By 佐々木 志峰
日本の外務省による「海外在留邦人数調査統計」が更新されている。毎年この時期になると恒例の様に取り上げている、在留届を基礎資料とした推計。日本国籍保持者と、在住国と日本の国籍の両方を持つ重国籍者が含まれる。2023年10月1日段階の統計(www.mofa.go.jp/mofaj/files/100436737.pdf)では129万3565人だった。
前年より1万4950人減少。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの前だった2019年の141万356人をピークに、減少が続いている。それでも永住者は増加傾向で、前年から3.18%増えて57万4724人と過去最多だった。
国別では米国が41万4815人で変わらず最多だが、前年から1.3%減。為替事情などもあるのか、2年続けての減少となる。永住者は2.2%増えて全体の55%に達した一方で、日本への帰国を予定する長期滞在者は4.7%減だった。
都市別ではロサンゼルスが過去同様に最多で6万4457人。ニューヨークが3位で3万7414人。そのほかは9位ホノルル、11位サンフランシスコ、14位サンノゼ、そしてシアトルが16位で続いた。シカゴ17位、サンディエゴ26位、ポートランド31位、アトランタ34位、ヒューストン39位、ダラス40位、デトロイトに近いノバイが43位、そしてラスベガスが47位だった。
シアトルは前年比で3.4%増の1万3002人。米国内ではダラスの4.1%に次ぐ伸びだった。
円安事情や賃金差を背景に、海外で就労可能なワーキングホリデーが人気を集めているとのニュースを目にした。実際にプログラム協定国で英語圏にある国を見ると、前年比でオーストラリアが5.1%、カナダが1.0%、ニュージーランドが4.5%の伸び。特にオーストラリアの都市は上位に入る7位シドニーが5.0%、12位メルボルンが3.3%、19位ゴールドコーストが5.9%、20位ブリスベンが11.8%と邦人数を伸ばしている点が印象強い。
米国では4年に1度の大統領選挙も終わり、次のかじ取り役が定まった。各国、地域の政策や経済事情でまた人の動きが見られるだろう。注視したい。