当地スポーツの盛り上がりを一手に引き受けてきたNFLのシーホークスがプレーオフで敗退。静かな冬を迎え、気が付けば1月がすでに終わりかけている。
例年この時期は大リーグのマリナーズが地元ファンとの交流行事を開催してきた。昨年は再建期にあるため未開催だったが、今年は2週間にわたってオンラインを通じてファンとのつながりを築いている。
新シーズンへ向けて着々と準備を進めるチームだが、その中で地元日系コミュニティーにうれしいニュースがあった。2017年まで6シーズンにわたって所属し、昨季をもって引退した岩隈久志氏が特命コーチとしてマリナーズに戻ってくることが発表された。
イチロー氏が球団会長付き特別補佐を務めており、チームを支えた日本選手2人がサポート役を務めることになる。日本、または日本選手とのつながりが深いマリナーズならではだ。チームによると、マリナーズのみならずマイナーチームにも足を運び、日本でのスカウト業にも尽力するという。
無安打無得点試合など活躍の姿が記憶に新しい。当時、筆者の主なマリナーズ取材は日系行事関連が中心だった。写真を撮るために球場に足を運んだが、打者を抑えてベンチに戻る際にレンズに入った気迫あふれる表情は今も強く印象に残る。
2018年に故障復帰を目指して懸命にリハビリを行う岩隈氏を追った。復帰がかなわずごく少数の現場記者に退団の決意を伝えたときの表情。その数週間後、イチロー氏に始球式を投じてマリナーズへ別れを告げ、取材対応後に交わした握手。真摯な対応を覚えている。
当時、チームからはコーチ就任を打診された。大きな実績を残した日本投手として、タイプは違うが菊池雄星投手のよき理解者となる事が期待されている。岩隈氏から背番号18を引き継いだ菊池投手は大型契約を結びながら成績が伸び悩み、言い訳の効かない3年目を迎える。
岩隈氏は来月からアリゾナ州で始まる予定のスプリングトレーニングからチームに参加する。今年も日本との縁深いマリナーズが話題をもたらしてくれそうだ。
(佐々木 志峰)