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シアトル邦人数は微増

 1年前の「一石」で取り上げた海外在住の日本人数について、令和3年(2021年)版として2020年10月1日時点の新たな統計を発表している。日本外務省が「海外在留邦人数調査統計」として、日本国籍を持ち日本国外に3カ月以上在留している推計人数をまとめたものとなる。

 これによると、海外の日本人総数は135万7724人。新型コロナウイルスの影響を受け、前年から3・7%にあたる5万2632人の減少となった。平成元年からの推移を見ると毎年増加してきた海外の日本人数が初めて数字を落とした。

 国別では米国が42万6354人で最多だが4%減。上位50カ国で日本人数を前年から伸ばしたのは14カ国だけだった。東南アジア諸国が多く、4位のタイが2・6%増、12位のマレーシアが16%増、14位のベトナムが1・2%増、27位のカンボジアが19・9%増、30位のミャンマーが6・3%増。それでも地域で見ると、アジアでは1・7%減。北米を含め、全地域で人数が減少した。

 都市別ではニューヨーク都市圏が前年から1・6%減らして4万人を切ったが、4・7%減だった上海を抜いて3位となった。1位はロサンゼルス都市圏で6万7501人。前年から1・6%減だった。近年一気に人数を増やしているのがホノルル。前年に25%増として10位に上がったが、今回も11・3%増の2万3735人。9位の香港とほぼ同数だった。

 注目のシアトルは1万1583人で21位。前年から2%増加させた。米国内でロサンゼルス、ニューヨーク、ホノルル、サンフランシスコ、サンノゼ、シカゴに続き7番目。隣都市のポートランドも微増し、5798人で37位、カナダ・バンクーバーは4・7%減少したが8位の2万6661人と大きなコミュニティーを維持した。

 統計は在留届を基礎資料とし、日系企業、日本人会、大学、研究機関、各種学校などからも調査協力を得たとしている。今回は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けてからのデータ。あくまで推計だが、微増させたシアトルは力強さを示したのではないか。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。