By 佐々木 志峰
出張先で水を買おうと、その地域で展開するチェーン店の一つに立ち寄った。手をすぐに伸ばしたのは2本購入で割引になるというセール品。うかつにも見落としていたのは、その割引はその店のメンバーのみに有効との一文だった。差額は小さいながら、支払いは3ドルほど。あまり来ない街だったこともあり、入会は遠慮した。
よくあることだ。特定のカードを使えばキャッシュバックがあるとか、スーパーマーケットのメンバーになればセール品に加え、さらにプラスの割引があったり。レシートを見た時に、「うまい買い物をした」と、満足感を覚える人も多いのではないだろうか。
価格という部分では、日本で「二重価格」というものが話題に挙がっているようだ。「歴史的」ともされる円安環境で訪日外国人数が急増しており、「訪日客」と「日本人客」で料金を分けるものだという。先に書いたような「地元」の住民にメリットがある取り組みであればいい。誰もが納得できる形となるよう、日本のイメージを崩さずに進めてもらえればと思う。
今月はアジア太平洋諸島系米国人(AAPI)のヘリテージ月間。米国勢調査局によると、2022年のアジア系米国人の人口は2470万人になるそうで、日系は160万人だという。ワシントン州立大学によると、同州におけるAAPIの人口は米国でトップ5の多さ。20年の統計では州人口の13%になり、日系は8万9千人あまりとされる。
太平洋に面する米西海岸はアジアと隣接している。シアトルに関して言えば、米国におけるアジアの「玄関」となる。そんな当地に今月、バイデン大統領が秋の大統領選挙へ向け約2年ぶりに足を運んだ。その訪問の少し前、日本などの諸外国に対して「外国人嫌い」とした言及が問題になったばかり。移民受け入れを強調したい上での発言と米政府は釈明したが、日本政府は抗議を申し入れたと伝えられている。その後、米政府関係者や連邦議員から第二次世界大戦の原爆投下を正当化する見解が出たりもした。
4月に岸田首相が訪米したばかり。それを受けての出来事として、少し心配なところである。