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マレー市長、年頭教書演説 若い世代への教育打ち出す 治安強化、地域団体と連携念頭

シアトル市のエド・マレー市長による年頭教書演説が16日にシアトル市議会で行われた。発展を遂げる当地において、支援の手が届いていない弱者へのケア、治安面を含め生活レベルの向上を目指すべく、地域コミュニティーとの連携を政策に打ち出した。

市長はテクノロジや科学の発展により、さまざまなビジネスや雇用機会が創出されていることに触れ、1962年の世界博覧会で描いた近未来に向かう街の姿を強調。また増加するホームレスの問題や、依然として不平等な社会状況の改善に向けた努力が一層必要なことを説いた。

シアトルでは過去5年間で6万3千の雇用拡大を達成。失業率は3・5%の低水準、中間収入額は過去最も高い水準を記録しているという。

一方、移民が多く、さまざまな文化背景を持つ住民生活においては、地域、人種で大きな差があると指摘。今後10年で成長を遂げる街とともに利益を共有できる社会形成を目指すとした。

特に若い世代へ向けた教育、機会提供を政策として推し進める。シアトル市によると、若者による犯罪の4割が家族を起点に発生している。学校機関への就学継続を奨励、市側でも職業訓練や各サービスを充実させ、若年層の犯罪への関わりを抑制する。合わせて、低所得者労働者へ向けた賃金増や転職の機会を提供する教育プログラムも地元高等教育機関と推進する。

芸術や文化面での支援としては、インターナショナル・ディストリクトに隣接するキングストリート駅の1万5千平方㌳をパブリックアートや、小ビジネスの活動の場とする考えを示した。

治安面に関しては、「依然として厳しい局面にあるが、去年は大きな前進があった」と述べた。昨年の実績として市の犯罪数は7%減少、車両盗難で3割、治安不安のあった東南部では20%の犯罪減を達成した。一方で、盗難、窃盗犯罪への対策強化が必要とし、新たに警察官100人を雇用した。これまで効果を見せている治安対策でダウンタウンや一部地域で問題化するドラッグ関連の犯罪減に力を入れている意向だ。

(N・A・P)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。