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シアトルのジェニー・ダーカン市長、 ジェントリフィケーション問題に関する対策令に署名

ジェニー・ダーカン市長は2月20日、深刻化するシアトルのジェントリフィケーション問題を受け、その対策令に署名した。内容は大きく、低所得者向け住宅建設の支援、物価や地価高騰の影響を受ける既存住民への配慮となっている。署名の会場となった、インターナショナルディストリクトのヒラバヤシ・プレースには、地元関係者やジェントリフィケーションに反対する活動団体のメンバーが集まった。

企業の進出拡大により、住民の流入も多いシアトル。都市の成長に伴い、長年シアトルに住みながら、家賃の値上がりで引っ越しを余儀なくされる地元住民も絶えない。こうしたジェントリフィケーションの波を受け市は、地元活動団体の働きかけもあり、これまで市民との協議や対策を進めてきた。新しい対策令では、2022年までに2,500戸の低所得者向け住宅を増やすことを目標にしている。今後10年間に、MHA(Mandatory Housing Affordability:指定区域内の不動産開発時、低所得者向け住宅を一定以上の割合で併設することを定めるもの)を実施し、6,000戸の住宅を増やす意向だ。

また、低所得者向け住宅の建設だけでなく、将来家賃が上がり、住民の移転リスクが高まると予想される地域には次の対策を発表している。低所得者向け住宅の空き情報を確認できるオンライン検索ポータルの充実、市内の古い建物を低所得者向けに改修するための支援、中所得者向け住宅建設の検討など。2019年末で終了予定だった、低所得者手当の受給者の入居を受け入れる賃貸物件所有オーナーや不動産開発者向けの税金控除法案も延長が決定した。また市内のビジネスについても、テナント保護や資金補助などで事業者を守っていきたいとしている。

ダーカン市長は「マイノリティー移民が暮らしてきた特色豊かなレニアビーチやセントラルディストリクト、ビーコンヒル、インターナショナルディストリクトから、多くの住民が去らなければならない現実がある。既存住民が今後もシアトルで暮らしていけるよう、コミュニティーと一丸となり働きかけていく」とプレスリリースで述べた。昨年11月から、インターナショナルディストリクトにあるリトル・サイゴンで102戸が入る低所得者向け住宅の建設も始まっている。

(文・写真 小林真依子)