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英語歌舞伎、ポートランドで公演 忠臣蔵、学生が成功へ向け猛練習

ポートランド市にある同州立大学で今月末から英語歌舞伎の公演が予定されている。演目は『忠臣蔵』。日本でも人気の高い伝統演目を「米国歌舞伎」として紹介することで、新たな日本ファン獲得が期待されている。

日本伝統文化として代表格となる歌舞伎。ポートランド州立大学では英語歌舞伎として過去にも紹介が行われてきた。活動の中心となってきたローレンス・コミンズ教授は、「歌舞伎は世界で最も楽しめる舞台劇の1 つ」と語る。1 9 9 3 年から限られた舞台道具、衣装で歌舞伎紹介を続け、2003年にプログラムとして本格化。『外郎売』、『車引』、『鰯売恋曳網』といった演目を披露してきた。

今回は大掛かりな舞台や人員が必要となる『忠臣蔵』。コミンズ教授によると、米国本土の大学プログラムで行う『忠臣蔵』は初という。米日財団をはじめ多くの支援が集まり、コミンズ教授の「長年の夢」が実現した形だ。参加者は約40人。複数役をこなす学生もあるなど、今学期を通じて週24時間のリハーサルに臨んでいる。

「ポートランド市民は歌舞伎公演を望み続けています」とコミンズ教授。大歌舞伎の公演は過去1度のみ。さらに言語面で理解を早めるために英語で伝えることを第一に考える。「米国歌舞伎」と話すコミンズ教授だが、「シェイクスピアの劇が日本語で問題なく演じられているのと同様、英語で行う歌舞伎があってもおかしくない」と続ける。1979年にハワイ大学が『忠臣蔵』を披露。コミンズ教授も観覧し、英語歌舞伎の成功と可能性を感じた。

通常であれば約8時間という忠臣蔵の台本は、約2時間40分にまとめた。学生の2/3は学期始めは歌舞伎の知識を持っておらず、動作、歩き方、しぐさのみならず、文化面など一から指導してきた。「クレイジーだと思われるかもしれません。ですが、学生たちは真剣に厳しい練習に取り組んでいます」と舞台の成功へ自信を見せる。

江戸時代にあった衣装、様式、歌舞伎という伝統文化を始め、多彩な表現を持つ日本を感じ取る価値あるイベントへ仕上げていく。

同大学日本研究センターでは歌舞伎公演に先立ち、文化理解のための講演会などをプログラムに組み込んでいる。同センター長のケン・ルオフ教授によると、オレゴン州の日本語プログラムの数は人口比率でハワイ州に次ぐ規模を誇るという。歌舞伎公演が日本へ興味を抱く若者を増やす導火線となることを期待している。

公演は2月25日から3月5日まで、ポートランド州立大学のリンカーン劇場で8回の公演を予定する。

3月7日にはコミンズ教授の指導にあたった日本文学研究の専門家、ドナルド・キーン氏が特別講演を行う。詳しくはwww.pdx.edu/cjs/the-revenge-ofthe-47-loyal-samurai、もしくはwww.facebook.com まで。

(佐々木 志峰)

 

佐々木志峰
オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。