文:乾 真彩
バション島にあるバション高校(Vashon High School)で行われた6月17日の卒業式で、日系人女性メリー・マツダ・グルーンワルドさんが卒業後74年目にして高校卒業証書を受け取った。「何十年も欲しかったんですが、もらえないと思っていました。人生の中でとても大きな出来事です」と語るメリーさんは、高校3年の時にカリフォルニア州ツールレイク収容所に送られたため、クラスメートと共に卒業することができなかった。それまでの平和な生活とは対照に収容所の過酷な環境での学生生活を余儀なくされたが、無事トライステート高校(Tri-State High School)を卒業。英語教師の推薦もあり奨学金を受け、のちアイオワの看護学校を経て看護師としてのキャリアを積む。1980年にはシアトルパシフィック大学(Seattle Pacific University)を卒業したが、バション高校からの卒業証書は今日まで延期されていた。
メリーさんは、体調が心配されたものの、当日は家族が見守るなか授与式に参加した。ダニー・ロック校長は「どんなにかこの卒業証書を欲しがっていたんでしょうが、これまで口にすることはなかったですね。多分、こんなことができるとは思ってもいなかったんでしょうね」と語った。