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シアトル市 デジタル格差是正に32万ドル助成

シアトル市では、2019年度も引き続きテクノロジー・マッチング・ファンドの助成金が市議会で承認され、32万ドルが11団体へ割り当てられることを8月13日付のプレスリリースで発表した。助成金を受ける団体は低所得者やホームレスへの支援団体ほか、貧困状態にあったりドメスティック・バイオレンス(DV)の被害を受けたりした子どもをサポートするアトランティック・ストリート・センター、貧困層の女性へキャリア支援を行うドレス・フォー・サクセスなど。1団体当たり最大5万ドルの助成金を受け、テクノロジー端末、ソフトウェア、ネットワーク環境の提供、デジタル教育などを推定3千人の援助が必要なシアトル住民へ提供していく。

ジェニー・ダーカン市長は、「仕事への応募、医療保険の選択、保育園への申し込み、友人や家族とのコミュニケーションなど何をするにもテクノロジーが必須になった現在、デジタル・リテラシー(テクノロジーを使いこなる能力)を行きわたらせることは公平な社会のために重要な課題」と、プレスリリースでコメント。テクノロジー・マッチング・ファンドを通して、「包括的で公正な都市」にしていきたいと伝えた。

今年の助成金を受けて運営されるプログラムには、障害を抱えていたり言語の障壁があったりする若者へ向けたマルチメディア技術研修、ホームレス向けのコンピューター設置施設の運営、低所得マイノリティー女性のためのウェブ・デザインやコーディング教室、ネイティブ・アメリカ系アーティストのためのデジタル教育カリキュラムなどが含まれる。

シアトル市のテクノロジー・マッチング・ファンドは1997年から始まり、毎年の助成金交付でこれまで500万ドル以上が300以上の団体やプロジェクトの支援に充てられている。2016年からはデジタル・エクイティー・プロジェクトの一環となり、デジタル・リテラシーの格差是正を目的に低所得層へ支援を行う団体への交付が中心になっている。

(加藤美咲・室橋美佐)

北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長。上智大学経済学部卒業後、ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から現職。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。