キング郡をはじめとするワシントン州のほぼ全域で、公立および私立校共に、オンライン学習での新学期がスタートした。対面授業は再開されず、夏休み前から引き続きのリモート学習になる。インズリー州知事は8月5日、クリス・レイクダル州教育長官と共に記者会見に臨み、今年度の学校再開に関し、新型コロナウイルス感染症が引き続き蔓延しているとして、リモート授業の実施、対面での課外活動の中止や延期を強く勧告していた。
「学校再開を取り巻く状況が、保護者や教職員にとって大きな不安の源となっており、しかもそれは安全性という面だけでなく、生徒が対面授業を受けられない場合、どのような影響が生じるのかという心配であることを、私たちは十分理解している」と、インズリー知事は述べていた。
授業形態の決定は各郡の保健当局と各学区に委ねられているが、州政府は感染率が高いままでの対面授業の再開は勧められないとしている。記者会見でレイクダル教育長官は、「目指すのは対面授業だが、生徒と教職員の健康と安全が最優先」とし、州保健局のキャシー・ロフィー博士も「再開を判断するには複雑な要因が絡む。すべての生徒に対面授業を受けてほしいが、そのためには、私たち自身が日常の行動を改め、感染を食い止めなくてはならない」と説明していた。
州がまとめた学校再開計画では、各郡のデータを基に、感染の度合いを直近2週間の感染件数(住民10万人あたり)に応じて、3段階(76件以上で高リスク、25~75件で中リスク、24件以下で低リスク)に分類している。計画発表当時、キング郡を含む25の郡は高リスクに分類され、リモート授業が推奨された。中リスクの9つの郡では、中学、高校に関してはリモート授業が推奨されるものの、小学校については対面授業も可能とした。低リスクの5つの郡では、中学、高校に関しては対面およびリモート授業を組み合わせたハイブリッド形式が推奨され、小学校では対面授業を全面再開できるとした。いずれの場合も、対面授業を再開するにあたってマスクの着用やソーシャル・ディスタンスの確保、校内の消毒など州政府の定めるガイドラインを遵守する必要がある。
教育の機会の平等を保障するため、障害を持つ生徒や英語学習を必要とする生徒、貧困家庭の生徒などに対しては例外を認めている。キング郡ではほとんどの学区で希望する生徒にノートパソコンやタブレットなどの端末が無償貸与されるなど、デジタル格差の是正に努めているほか、無料の給食配布も継続される。医療関係者や社会インフラ業務に従事するエッセンシャル・ワーカーは、引き続きチャイルドケアが利用可能。
9月7日現在、キング郡の過去2週間における感染状況は、新規感染件数が1373件(陽性率2.1%)、死者数は17名(全陽性者の1.2%)。住民10万人あたりで約61人の計算だ。
(シュレーゲル 京 希伊子)