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人種差別、第二次世界大戦と現在 パネルディスカッションで比較、議論 恐怖で起きる差別、理解と結束重要

第二次世界大戦中の日系人差別と、米国中枢同時テロ「9・11 」後のイスラム教徒、移民や難民への差別の共通性ついて議論するパネルディスカッションが5月30 日、二世復員軍人会記念会館で行われた。(写真英語1面)

パネルディスカッションでは日系ジャーナリストのフランク・アベ氏が司 会を務め、日系人の収容問題に詳しいシアトル大学法学部のロレイン・バンナイ教授、米国最大のムスリム権利保護団体Washington State chapter of Council on American-Islamic Relations (CAI R)のアルサラン・ ブクハリ事務局長、 不法移民の権利保護活動家でコンサルタントのマル・モラ・ ヴィルパンド氏が、 マイノリティが遭遇する人種差別について議論した。

バンナイ教授は日系移民、日系人が受けた差別について説明。収容所政策のほか、新聞でも日本人へ向けたヘイトスピーチが行われていたことを当時の資料を参照しながら解説。差別が行われた原因を「自分と異なる人々への恐れや無知が差別を生んだ」 と語った。

ブクハリ氏は、9・11 以降「ムスリム」 という単語自体が人種差別的な意味を持つようになったと説明。「差別がムスリムの子供達の明るい未来を閉ざしている」と語った。

同氏によると、ムスリムに対するヘイトクライムの件数は昨年が最も多かったという。「差別は恐怖から生まれる。近所のムスリムと付き合い、彼らを知ることが、差別をなくすために重要」と述べた。

ヴィルパンド氏 は、毎日約800人 の不法移民が裁判なしに米国から国外追放されていることへの憤りを語った。「人種マイノリティで低所得者であれば、誰でも差別の標的になりうる」と警告。差別をなくすために重 要なことについては、「マイノリティ同士の結束が重要」 と訴えた。

講演中にはアイダホ州ミネドカ収容所の写真や、第二次世界大戦中の日系 人の子供と9・ 11 後のムスリムの子供がそれぞれ「 I am American 」と書かれたプラカードを掲げている写真なども公開された。

(遠藤 美波)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。