令和6年4月10日、アメリカ合衆国・ワシントンDCを公式訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、ジョセフ・バイデン大統領と、日米首脳会談を行いました。その概要を北米報知の読者の皆様へお伝えいたします。アメリカ合衆国在住の皆様におかれましては、両国の友好関係が一層強化されていくよう、引き続きお力添えをお願い申し上げます。
日米首脳会談
冒頭、岸田総理大臣から、公式訪問に招待いただき光栄である旨述べた上で、日米両国は深い信頼と重層的な友好関係で結ばれており、このかつてなく強固な友好・信頼関係に基づき、日米両国が二国間や地域にとどまらず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に維持・強化するグローバル・パートナーとなっている旨述べました。その上で、岸田総理大臣から、今次公式訪米を通じて、かつてなく強固に結ばれた日米が、いかなる未来を構築していくのかを内外に示したい旨述べました。両首脳は、日米両国が国際社会の問題に取り組むグローバル・パートナーであるとの点で一致しました。
両首脳は、国際社会が分断の度合いを深め、かつてないレベルでの挑戦を受けているとの認識を共有した上で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に維持・強化していくことで一致しました。
そして、日米同盟の役割がかつてなく高まる中、日米安全保障協力について、岸田総理大臣から、国家安全保障戦略に基づき、反撃能力の保有や、2027年度の防衛費とそれを補完する取組に要する予算水準を2022年度のGDPの2%に引き上げるなど、強い決意を持って防衛力の強化に取り組んでいることを伝え、バイデン大統領から改めて強い支持を得ました。その上で、両首脳は、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化が急務であることを再確認し、米軍と自衛隊の相互運用性強化のため、それぞれの指揮・統制枠組みを向上させることを含め、安全保障・防衛協力を拡大・深化していくことで一致しました。また、バイデン大統領から、日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントが改めて表明されました。
続いて、両首脳は、次のとおり地域情勢について意見交換を行いました。
(1) 両首脳は、力又は威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所であれ、断じて許容できず、同盟国・同志国と連携し、引き続き毅然として対応することを再確認しました。
(2) 両首脳は、中国をめぐる諸課題への対応に当たり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。また、両首脳は、中国と対話を継続し、共通の課題については協力していくことの重要性を確認しました。さらに、両首脳は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促しました。
(3) 両首脳は、核・ミサイル開発や露朝関係を含む北朝鮮をめぐる最新の情勢について率直な意見交換を行いました。両首脳は、昨年8月のバイデン大統領の招きによるキャンプ・デービッドでの日米韓首脳会合の成果に立って、多くの分野で日米韓協力が進展していることを歓迎しつつ、深刻に懸念すべき現下の情勢に対して、引き続き日米、日米韓で一層緊密に連携して対応していくことで一致しました。また、岸田総理大臣から、拉致問題の即時解決に向けた米国の引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領から、改めて全面的な支持を得ました。
(4) 両首脳は、東南アジア諸国や太平洋島嶼国を始めとする様々な国との更なる関係強化の必要性を共有し、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
(5) ロシアによるウクライナ侵略について、岸田総理大臣から、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との認識の下、我が国が自らの問題として厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続していく決意を述べ、バイデン大統領との間で、G7を始めとする同志国と緊密に連携していくことで一致しました。
(6)岸田総理大臣から、中東情勢をめぐるバイデン大統領の外交努力を高く評価する旨述べるとともに、人道状況の改善や持続可能な停戦の実現に向けて外交努力を重ねている状況について説明しました。両首脳は、ハマス等のテロ攻撃を非難するとともに、ガザ地区の人道状況の改善及び復興と「二国家解決」の実現、さらに中東地域の安定化に向け、引き続き緊密に協力していくことで一致しました。
次いで、両首脳は、日米両国が世界の経済成長を共に牽引していく上で、民間企業を始めとする双方向の投資の促進が重要であるとの認識で一致しました。岸田総理大臣からは、ノースカロライナ州における日本企業の投資にも触れつつ、日本企業が投資や雇用創出を通じて米国経済に大きく貢献していることを説明し、バイデン大統領から賛意が示されました。その上で、両首脳は、半導体、AI、量子等の先端技術分野での競争力の維持・強化に向け、研究開発協力の具体化を歓迎するとともに、イノベーションを促進するスタートアップ環境の整備や人材育成交流といった連携を加速化することを確認しました。
両首脳はまた、経済的威圧、非市場的政策・慣行や過剰生産の問題への対応、サプライチェーンの強靱化や、脱炭素化等による持続可能で包摂的な経済成長の実現に向け、協力を強化していくことで一致しました。この文脈で、経済安全保障の確保に向けて、二国間やG7を含め、様々な枠組みを通じて連携を更に深めていくことでも一致しました。さらに、岸田総理大臣から、米国のインド太平洋地域への経済的関与が不可欠である旨述べ、同地域の経済秩序についてやり取りを行いました。
両首脳は、宇宙分野での日米協力を一層推進していくことで一致しました。また、日本からの月面与圧ローバの提供と日本人宇宙飛行士の2回の月面着陸を含む、与圧ローバによる月面探査の実施取決めの署名を歓迎しました。さらに、両首脳は、重要なベンチマークが達成されることを前提に、アルテミス計画の将来のミッションで日本人宇宙飛行士が米国人以外で初めて月面に着陸するという共通の目標を発表しました。
続いて、両首脳は、昨年の「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の発出を含む、核軍縮に関する現実的・実践的な取組が進んでいることを確認し、岸田総理大臣から、米国の「FMCTフレンズ」への参加を歓迎する旨述べました。
両首脳は、揺るぎない日米関係の礎は人と人との絆であり、これを一層強化するべく、人的交流を更に促進していくことが重要であることを再確認しました。
両首脳は、国際社会の平和と繁栄の礎である法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を何としても維持・強化していくという日米両国の不退転の決意を表明し、その指針を記したものとして、日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」を発出しました。
日本国政府(写真提供:内閣広報室)
より詳しい情報は、首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/)、外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/)をご覧ください。
また、日本政府の政策や日本の魅力について、英文の日本政府公式ホームページ「JapanGov」(http://www.japan.go.jp)や、英文オンライン・マガジン「HIGHLIGHTING Japan」(和文も掲載。https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/index.html)もご参照ください。
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