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分断なく〜一石

By 佐々木 志峰

すでに米国でも有数の高所得地域となっている当地。シアトル・タイムズ紙が掲載したjinn局(www.census.gov)の最新統計によると、世帯所得の中央値は全米の主要50都市で3位となった。2022年の11万5千ドルから12万ドルを超え、1位サンノゼの13万6千万ドル強、そして2位サンフランシスコに続いた。

調査によると、人口6万5千人以上の小自治体でサマミッシュが昨年に続いて全米トップとなった。世帯所得中央値は約23万9千ドル。レドモンド、ベルビュー、カークランドが続き、その次がシアトル。これらがワシントン州で上位5つの自治体となる。

米国全体での所得の中央値は約7万7ドルで、上位と下位の都市で比べるとその差が浮き彫りとなる。主要都市で最も低いデトロイトは3万8千ドル。20万ドルの所得を超える世帯はシアトルで29%に達したのに対し、デトロイトは3%に満たないという。

貧富の差は着実に広がり続けている。実際出張で各地を回ると、車中から見える街の一部には疲れが出ているようなところも多い。長年先頭グループを走り続けてきた当地はどうだろうか。

近づく大統領選挙に向けて行われた候補者討論会。お互いの政策を披露し、論じ合う場であってほしいが、最近は様変わりしたように感じてしまう。現政権の副大統領、そして元大統領による争いということで、政策面はある程度有権者に理解されているということだろうか。両候補が相対したのは初めてのことで、また何度か討論を重ねれば徐々に深堀りされていくのかもしれないが、今回唯一頭に残ったのは主義、思想をぶつけ合う「分断」。そして特定コミュニティーがターゲットにされたことだけだった。

そんな中で米テレビ界最高の栄誉とされるエミー賞で、日本の戦国乱世を描いたハリウッド時代劇「SHOGUN」が18部門の賞を独占した。主演男優賞に輝いた真田広之さんは壇上で作品について「東洋が西洋と出会う夢のプロジェクト」と語った。「人々が一緒に取り組むことで奇跡を起こせる」、「私たちはよりよい未来を一緒につくることができる」とも。

分断なくつなぎ合えるように。「合衆国」の名にふさわしい国であってほしい。