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「平和の家」ドキュメンタリー上映 フロイド・シュモー氏の足跡を追って

NHKワールドが制作した映像作品「平和の家(Houses for Peace: Exploring the Legacy of Floyd Schmoe)」が、2019年1月12日にベルビュー・チルドレンズ・アカデミー、翌日にワシントン大学シアトル校のケーン・ホールで無料上映される。NHKワールドが主催する同上映会は、ワシントン大学アメリカ民族学部と大学図書館のほか、在シアトル日本国総領事館、二世退役軍人会、ホロコースト・センター・フォー・ヒューマニティー、日系アメリカ人市民同盟シアトル支部、ワシントン州日米協会、シアトル広島県人会などが共催する。「平和の家」は、原爆投下後の広島と長崎で、人種や宗教を超えたボランティアと共に被爆者とその家族のための住宅を造った、平和活動家のフロイド・シュモー氏(1895−2001)の軌跡をたどるドキュメンタリー作品。上映後は、当時ボランティアに参加したジーン・ウォーキンショー氏と、番組を制作したディレクター陣を迎えた質疑応答も行われる。

シアトルを拠点に活動していたシュモー氏は、シアトル・ピース・パークを造ったことでも知られる。徹底した平和主義でありクエーカー教徒だったシュモー氏は、第一次世界大戦中も兵役に就かず、良心的兵役拒否者としてフランスで傷ついた兵士と市民の救護に当たった。大戦終結後は、マウント・レーニア国立公園で自然学者として働き、その後ワシントン大学で森林学の講師としても働いた。第二次世界大戦が勃発すると、アメリカ・フレンズ奉仕団のシアトル事務所を立ち上げて、米政府による強制収容命令を受けた日系人の支援活動を行った。

広島と長崎での原爆投下を知ると、シュモー氏は原爆によって家を失った人たちの支援をしようと決意。1949年に日本への渡航許可が下りると、まだ連合国軍の統治下にあった広島へ向かった。4年間にわたって、アメリカ各地からの寄付を集めながら、広島に21軒、長崎に数軒の住宅を建てた。住宅棟に掲げられた看板には「1.理解を築くために、2.この住宅を造り、3.未来の平和を」と、プロジェクトの目的が明記されている。

「平和の家」は、ワシントン大学図書館に収められているシュモー氏に関連する資料の調査と、彼を知る人物のインタビューを通して、105年生きたシュモー氏の平和活動をたどる内容になっている。上映後は軽食も提供される。

(窪田進一朗)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。