Home コラム 一石 州内外へと動く人々〜一石

州内外へと動く人々〜一石

By 佐々木 志峰

感謝祭を経て商いシーズンへ。近年は「ブラックフライデー」というワードが11月の初めくらいから早々に広告で飛び交う。感謝祭翌日の金曜日なのだということなど忘れてしまいそうだ。

今年は感謝祭が11月29日だったこともあり、ホリデー期間はやや短い。それでも皆、購買意欲は例年のごとく旺盛のようで、筆者もまた同様。財布事情とにらめっこしながら、あれも買いたい、これを買い忘れたと思いを巡らす日々を過ごしている。

前回のコラムで、海外の日本人動向についての推計を紹介した。シアトル・タイムズ紙では、ワシントン州と他州との人口動向を比較する記事が出ていた。米国勢調査局の資料を元に、他州へ移った人数、また他州から移住してきた人数の差だそうで、最新の2023年は両数字とも21万人強でほぼ同じくらいだという。ワ州への移住増で人口の伸びに寄与してきた最近と違い、傾向の変わり目になるかもしれない。

同紙によると、隣州アイダホへの流出が最も多かったという。アイダホ州への転出者は1万5千人近く。一方同州からの移住者は7500人だった。これに続くのがテキサス、ケンタッキー、オハイオ、ジョージアの各州だそうだ。一方でワ州への流入はカリフォルニア、オレゴンといった近隣州が多く、追ってハワイが3番目となる。

アイダホ州ボイシを拠点とするマイクロン・テクノロジー社が150億ドルを投資した半導体メモリ工場の建設計画を22年に発表しているが、これが雇用創設に繋がっているのだろうか。高騰した生活費の影響もあるかもしれない。調べれば、シアトルとボイシは飛行機で1時間半ほど。隣州だけに近いが、時差は1時間ある。筆者が日系人関係の仕事で訪れたのはずいぶん前のこと。当時とは雰囲気もずいぶん変わっただろう。

ちなみに他州に対してもっとも人口を増やしたのはテキサス州で13万人強。その後にノースカロライナ州やフロリダ州が続く。もっとも他州への流出が多かったのはカリフォルニア州で27万人弱。ニューヨーク州、イリノイ州が同様に続く。大統領選挙にもあったが、「レッド」、「ブルー」の色分けで見ると、州ごとの勢いや人の動きで傾向のようなものも見えるかもしれない。