ライトレールの北路線にあたる3駅が週末に開通した。ワシントン大学のハスキースタジアムからノースゲートまでつながり、シータック空港付近から北へ路線がさらに延びた。2023年にベルビュー、24年にリンウッド、フェデラルウェイ、レドモンドまでもつながる。32年にウエストシアトル、35年にバラード、36年にエベレットまでの開通が予定されている。
サウンドトランジット社によるとノースゲートからダウンタウンまでの所要時間は14分、インターナショナル・ディストリクトまで18分、シータック空港まで49分になるという。魅力的だと思う。車両内の混雑を含めて新型コロナウイルスの懸念は出ると思われるが、利用者数は1日4万人以上を見込んでいるという。
筆者自身は仕事の時間帯の関係もあり、基本的な移動手段は車となる。先日も不慮の事故渋滞で予定到着から遅れることがあった。ダウンタウンに向かう道のりを見ると、南から入る際は比較的抜け道が多いが、北からは道路選択肢が限られる。同じ週末に大リーグでプレーオフ進出の懸かったマリナーズを応援するため球場は連日満員となったが、その移動手段としてライトレールも一役買ったことだろう。
近年はライドシェアが便利だが、それでも市内を駆ける公共交通機関の存在は各都市の生活感を学ぶ絶好の機会になってきた。好みの差もあるかもしれないが、コロナウイルスの感染拡大前に米国各地へ出張機会があったときは、各街で電車の駅から徒歩圏内を最優先に宿泊先を探してきた。シカゴ、ヒューストン、サンフランシスコ、サンディエゴ、セントルイス、フェニックス、ミネアポリス、ソルトレークシティー。近場であればポートランドが好例だろう。
2020年でシアトルの人口は73万人、キング郡では226万人を超えたという。市内を走る電車に関してシアトルは後発組。路線の延長に合わせて、各駅のまわりでコミュニティーやビジネスが新たに形成されていくだろう。この先、自身の生活スタイルにどれほど浸透してくるのか楽しみなところだ。
(佐々木 志峰)