日系アメリカ人団体「ツル・フォー・ソリダリティー」に参加する100名以上の活動家らが6月8日、カルフォルニア州ベイエリアのサンブルーノ市にあるタンフォラン・アッセンブリー・センターに集った。全米で「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」と呼ばれるアフリカ系アメリカ人への人種差別への抗議デモが行われるなか、同団体も、国や警察による移民や人種的マイノリティーへの暴力を終わらせようと訴えた。タンフォラン・アッセンブリー・センターは、第二次世界大戦中に、7600名の日系アメリカ人が強制収容されていた歴史を持っている。集まった人々は、平和的デモを通して、警察に殺害されたアフリカ系アメリカ人、米国移民関税執行局(ICE)の移民収容施設の中で新型コロナウィルスにより命を落とした移民、そして過去にタンフォラン・アッセンブリー・センターで亡くなった日系アメリカ人などを弔った。
ツル・フォー・ソリダリティーは、第二次世界大戦中の日系アメリカ人強制収容の歴史を記憶し、現在も行われている不当な移民拘留の撤廃を訴えたり、移民・難民コミュニティーを支援する取り組みを行っている。2019年3月に発足し、様々な活動を続けてきた。6月12日には、首都ワシントンDCで、ホワイトハウス前の柵に全米各地から集めた折り鶴をかけて、人種・移民差別反対を訴える講義デモも行った。団体名にも入っている「折り鶴」は、平和や思いやり、希望、そして癒しなどを象徴しており、団体におけるソリダリティー(連携)を意味している。
当団体創始メンバーの一人で、今回のデモ活動の実行運営を中心的に行ったキム・ミヨシさんは、デモのなかでスピーチをし、「今日の私たちのこの集会は挑戦だ。そして、苦しみと犠牲によって我々の歴史を作り上げてきてくれた1世、2世そして3世への敬意でもある」と述べた。スピーチでは、米国で続いてきたアフリカ系やアジア系、またネイティブ・アメリカンへの差別を伝え、「私たちがこうして今日この日を迎えることを望まなかった人種差別者への心からの怒りと反抗なのである」と訴えた。同デモ集会には、ツル・フォー・ソリダリティーに加えて、日系アメリカ人市民リーグ(JACL)フローリン支部、ニッケイ・レジスターズ、バクハツ太鼓なども参加。参加者それぞれが、数々の不当な仕打ちに対する怒り、その中で受けつがれてきた命への責任感、そして犠牲者への祈りを捧げる、平和的なデモ集会となった。
(神谷ゆりあ)