以前、本紙で紹介したことがあるが、ブラジル・サンパウロで開かれる日本祭りは今年も大盛況だったという。編集提携先のニッケイ新聞によると、約18万人が訪れたという。都市規模は違うが、驚きの数字だ。
以前関係者に聞いたことがあるが、イベント数が少なく、日系関連行事に人気が集まるという。会場は、文化紹介ブース、舞台に加え、各県人会による食べ物ブース、そして企業関連ブースなどに分かれる。43の県人会が出す食べ物ブースは大変な賑わいを見せるという。
今年9月に秋祭りを引き継いで行われるジャパンフェア2016も、こうした文化、コミュニティー、ビジネスの3つを絡めた形をイメージしていると感じ受ける。
近年のクールジャパンの広報活動を含め、日本からの情報、 文化発信の形も変わっている。ジャパンフェア実行委員会の尾中泰さんは、米国でも前述の3つを合わせた形での「フェア」、日本祭りが各都市で開催されているという。春、秋にある伝統の当地文化イベントだが、1つは、そういった側面を持っても良いのかもしれないとの意見だ。
重要なのが、こうした行事が、いわゆるコミュニティーの外に出て日本を「アピール」する場となるということだろう。
桜祭りがシアトルセンターで行うように、ジャパンフェア2016もベルビューでも有数 のイベント会場を使用することになる。記者会見で指摘したが、会場となるメイデンバウ ワーセンターのウェブサイトをみると、 15日現在、イベントカレンダーにはジャパンフェ アに関する情報は掲載されていない。同センターは広報活動に携わらないというが、ウェブサイトによればニュースレターも発信している。新たな客層取り組みとして十分考えられるツールだ。
実行委員会や協力団体、企業のネットワーク、今後日系メディアの発信で、いわゆる日系社会への情報はある程度行き届く。シアトル地域全体でみて小さな日系社会だけに、また親日、知日派を取り込むだけでなく、ターゲットをその外に向けて広く、啓蒙できる機会となってほしい。
学校が始まって間もない9月第一週、レイバー・デーの週末の開催と、日程的な難しさもある。一方で実行委員会の話からは、将来的な可能性も感じられる。残り2カ月強、大変な労苦だが、舵取りに注目したい。
(佐々木 志峰)