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宇和島屋配送サービス開始

オレゴン州ポートランドへの取材に関する続きを執筆予定だったが、都合もあり、来週以降に先延ばしさせてもらうことにした。

地元アジア系マーケットの宇和島屋がオンライン販売大手のアマゾン社と提携し、食料品の無料配送サービス「Prime Now」を開始している。新しい購買の流れに合わせた取組みだが、店内でオーダーを受けた配送スタッフが品物を取り集める姿を頻繁に見ることができる。

オレゴン州のビーバートン店では同様のサービスをすでに実施しており、アマゾン社の拠点がある当地でもシアトル、イーストサイドで3月下旬から本格導入している。シアトル店ではアマゾン配送サービスのスタッフ事務所を設置。オーダーが入ると、店内から商品を取り集め即配する。購買者にはスマートフォンのテキストメッセージなどを通じて情報が送られる。

同配送サービスは地元食料品店では宇和島屋とオーガニック系食品マーケットのPCCの2企業が参加。アマゾン社のプライム会員が利用可能で、オーダー発注から2時間以内で配送される。7・99 ㌦の追加料金で1時間以内の配送を受けることができる。利用のためには最低20 ㌦分のオーダーが必要となる。

宇和島屋のデニス・モリグチ(森口)社長は新しい購買の流れに合わせた取り組みと強調。ダウンタウン周辺に居住、車を所有しない客を主なターゲットとしているようだ。米など重い食料品配送も可能となる。現在のところ、セール価格導入は行われておらず、多くの商品は店内料金からわずかに上乗せされた料金設定となっている。

モリグチ社長は目標売上など詳しい数字は明かさなかったが、開始からある程度の手ごたえを感じているようだ。

実際に本紙でも一度利用しており、その際のレビュー記事を英語面で掲載している。当地交通改革は進んでいるとはいえ、渋滞問題は地元の課題で、宇和島屋の立地も渋滞の影響を多く受ける場所にある。

米など重量のあるものは公共交通で運ぶ上で難しい面もある。いろいろと利用価値は出てくるだろう。モリグチ社長は就任時に次世代テクノロジーの活用を強調していたが、今後も老舗企業からの試みに注視したい。

(佐々木 志峰)

 

佐々木志峰
オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。