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心痛む天災

西日本に大規模被害を及ぼし記録的集中豪雨の被害に驚かされている。週末の段階で死者は100人を超え、2万人以上が避難していると報じられている。

その前には大阪を震源とする大きな地震があった。関東地方でも週末に地震が起きたばかりだ。2018年はまだ半年過ぎたばかり、夏の台風時期を迎える前に起き続ける災害。米国でもカリフォルニアの山火事、ハワイの火山噴火といった報道を見かける。発生は防ぎようがないとはいえ、多数の犠牲者に心が痛む。日本の近年の災害を見ていると、その原因とされる「異常」気象と呼んでいたものが、「通常」に変わりつつある。米国でも同じだろうか。個人的にも仕事の関係で訪れる米国各地の気候の違いに驚かされている。

コロラド山中の高所では強い日差しが直接肌に突き刺さった。アリゾナでは灼熱の日光が地面を照らす。日中は華氏105度に達し、焼けるようでとても外を散策できる環境ではなかった。中西部に行ってみると、アリゾナほどの高温ではないが、蒸し暑さが加わり不快感さが増した。ミシガンに行った時に聞いた話では、今年は例年になく気温が高いという。

シアトル・シーホークスがスーパーボウルへ勝ち抜く上でライバルチームの1つとなるグリーンベイ・パッカーズの本拠地、ランボー・フィールドに足を運ぶ時間があった。シーズンが佳境に迫る冬には大雪に見舞われ、氷点下に冷え込む中で試合が行われることで知られる。遠征する敵チームには過酷な屋外での戦いを強いられる。

そのグリーンベイの郊外にも大きな住宅が並び、初夏の平穏な生活を楽しむ様子が見て取れた。ただ生活は車頼り。周囲には店もない環境で雪が降る冬はどうなるのかと思ったが、「こういうところではすでに備えができているので大丈夫」という声が聞かれた。電気、食料を含めて自宅での備え、道路対策など長年培った情報や知恵があるのだろう。

当然のことだが、天災は防ぐことはできない。気候状況が変わる中でも何とか減災の取り組みを続けたい。それはまた当地でも同じこと。日々の準備を肝に銘じたい。

(佐々木 志峰)

佐々木志峰
オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。