文:松崎 慧
5月28日、ワシントン大学のシアトルキャンパス内で「TED×U of W イエス・アンド」と題された講演会が行われた。
TED (テッド)とは、分野を問わず「広める価値のあるアイデア」を持つ人物を招いて講演会を開催する非営利団体。これまで、世界126の国と地域、800以上の都市で講演会が開催されており、ワシントン大学の学生団体「TED×U of W 」もその一として、2012年から毎年開催されてきた。今年も、ワシントン州で活躍する9名が講演者として招かれ、学生や地域住民が来場した。
今年の講演では、トランプ政権の発足を背景に、イスラム系移民への風当たりが強くなっている状況に訴えかけるプレゼンテーションが多く見られた。
講演者の一人、教育者であるエリン・ジョーンズ氏は、ワシントン州の教育機関に長年携わってきた経験をもとに、現代の差別について講演した。全米イスラム協会ワシントン州支部の市民権マネージャーを務めるジャスミン・サミー氏は、「大人よりはるかに傷つきやすい子どもを反ムスリムの否定的な発言から守らなければならない」と話し、「よいラマダンを」と締めくくった。ボーイングやマイクロソフトなど数々の有名企業へのワークショップを手掛けるスティーブン・マトリー氏は、自身の名前を「ムハマト」というイスラム系の名前から現在の名前へ変更した経験について話し、文化や人種の多様性を受け入れることで視野が広がると説いた。
その他にも、雨の日にだけ道路に浮かび上がるペイントでシアトル市内を活性化するプロジェクトを立ち上げたペレグリニ・チャーチ氏、スペースニードルやワシントン大学の環境面での持続可能なビジネスに携わり「ごみを捨てる前に分別について5秒考えて環境を守ろう」と呼びかけるウィリアム・ジョー氏などが登壇した。