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メモリアルデー

晴天に恵まれたメモリアルデーの週末、日系コミュニティーの伝統行事、二世戦没者追悼式がシアトル市内レイクビュー墓地で行われた。今年は取材参加しなかったが、コミュニティー関連行事で撮影を行う知人の写真を拝見させてもらった。

2017年という時間の流れもあり、今年は参加人数がさらに減ったように感じた。来賓席が特に顕著で、政界から引退したジム・マクダーモット前連邦下院議員をはじめとする常連の姿がなかった。大村昌弘前領事も先月に離任している。家族席をみると、最前列には復員軍人関係者が並び、久しぶりに見る二世関係者の姿があった。寂しさのなかにもふと安堵を覚えた。

別写真を見ると、日系復員軍人の後輩に両脇を支えられ歩き、献花する二世がいた。軍事情報部(MIS)のベテランのヒロ・ニシムラさん。筆者が駆け出しのころは、在シアトル日本国総領事館と二世復員軍人会(NVC)の間に立ち、歴代総領事ら関係者の献花に付き添っていたことを覚えている。式典後、地元日本食レストランで総領事と昼食するのが恒例だったと聞く。「日本語を使うのは気を使うから」と、筆者も「日本語担当」として同席したときを懐かしく思い出した。

3月に小説『ノーノー・ボーイ』の新訳を出版した川井龍介さんと一緒にあいさつに訪れたとき、たしか97歳と聞いたと思う。友人が次々と世を去り、寂しくなっていくと漏らしていたが、それでも長寿に恵まれた人生に感謝していた。

メモリアルデーは、地元の日系仏教会関係者が地域に点在する墓地を訪れ、特別法要が催される。先述のシアトル・キャピトルヒルのレイクビューに加え、北のワシェリ、南はシータック、ケント、オーバン、タコマやサムナーなどに日系関係者の墓地区画がある。クイーンアンの墓地には、大北(グレートノーザン)鉄道の雪崩事故での日系工夫犠牲者の墓標があり、毎年同様に供養されているという。各所の法要には家族が墓参りに集まり、ある関係者が「米国版のお盆」と話すのもうなずける。

さて当地のお盆は7月。恒例行事「盆踊り」は、ベルビューで開かれるジャパンフェアの翌週7月15日、16日にシアトルで開かれる。その後、オーバン、タコマ、オリンピアへ場所を移しながら、夏の伝統風物詩が楽しまれる。

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。