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シアトル日本庭園が還暦

雨が続き、肌寒くもあった6月上旬。地元メディアのKOMOによると、今年はこの5年でもっとも雨の日が多いという。2016年が6日、17年が7日、18年と19年が8日だったが、今年半月を過ぎたところですでに日数を上回った。今週からようやくシアトルらしい夏の到来を迎えそうだ。

 別記事を見てみると、シアトルが誇る日本庭園が開園60周年の「還暦」を迎え、ウェブサイト内で写真特集を組んでいた。現状から一時閉鎖となっているが、何度となく取材で足を運んだ庭園だけに懐かしく一枚一枚に目を通した。

 同庭園の開園は1960年6月5日。第二次世界大戦前から練られていた構想が年月をかけて実現した。造園には地元日系庭師の活躍、協力が大きかったとされる。当時の皇太子ご夫妻によるシアトルご訪問があった同年に桜と白樺が植樹された。年代ごとに行われてきた改修、改築の各プロジェクトでは地元の日系関係者が深く関わり現在に至る。

 一つ一つ置かれる石は60年前から同じでも風雨に打たれ、庭園内外の植物も成長することで庭園の趣も変わる。筆者が最も新しく記憶する大きな変化には、庭園入り口部分の大改築があった。庭園を見渡すと北側の部分が「未完成」な状態にあり、改良の余地があると耳にしたこともあった。いつまでも「進化」できる庭園といえるのではないか。

 シアトル日本庭園は当地にある日本庭園の代表格だが、州内にはその他にも大小の日本庭園があり、それぞれが四季の奥深さを伝えている。出張先のある地方都市で見た立派な日本庭園に驚かされたこともあった。親善の象徴として、姉妹都市の名前を冠した庭園も多い。

 さて庭園とは異なるが、ふとレイクワシントン湖畔のスワード公園で進められている鳥居再建プロジェクトが気になった。日本とのつながり深い記念碑が並ぶ同所で、地元コミュニティーと日系社会のつながりを讃える。ウェブサイトによると、今夏、間もなくの完成が予定されているようだ。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。