シアトル市の人権委員会は12日、今月上旬に発生した警察官による射殺事件と市民抗議を受けての声明を発表した。ルイジアナ州バトンルージュでは黒人男性アルトン・スターリング氏、ミネソタ州ファイルコンハイツではフィランド・カスティロ氏の2人が警察官によって射殺された。
同委員会は、「警察官による黒人、ラテン系、ネイティブ系、その他有色人種に対する不平な殺人は、コミュニティー全体で終結させなければならない」と発表。特に市民に対する警察官の犯罪行為を訴える機会の少なさを警告した。市が人権問題に献身し、市民と共に透明性、責任を追求、市民の生命を守るべき法執行のできる社会体制づくりを目指すことを訴えた。
シアトル市警察に対する制度改革の必要性も主張。同市警はアフリカ系米国人やその他のマイノリティー、精神病を抱える住民への差別、暴挙といった問題から、12年に米司法省の仲裁を必要とした経歴がある。
市人権委員会は一方で、同市警の一部でソーシャルメディアでマイノリティーに対する嫌悪感を示したり、抗議グループや有色人種のコミュニティーに対し過度な姿勢で接するといった問題も指摘。シアトル警察組織の整合性を弱めるものとして警告している。
警察関連や人種問題を発端とした一連の事件を踏まえて、全米日系市民協会も8日に声明を発表。犠牲者への冥福を祈りつつ、人種間同士の相互理解や平等への意識を高めることで、事件の再発を防ぐべく、啓蒙活動を続けていくことを明らかにしている。
(大間 千奈美)