シアトル日本商工会(春秋会)が3月24 日と4月1日にシアトルダウンタウンのウエスティンホテルで特別セミナーを開催した。環太平洋経済協定(TPP)、アベノミクス、為替という現在旬となるテーマについて専門家による講演が行われた。在シアトル日本国総領事館、ジェトロ(日本貿易振興機構)との共催。
3月24 日にはTP Pの現状と今後の予測について外務省経済連携協定交渉官の栗山淳氏、ジェトロNY調査担当次長の若松勇氏が講演、約1 7 0 人が出席した。
TPPは2月に参加12 カ国が正式に署名、今後は各国内で参加への手続きを進める。12 カ国が国内手続きを2年以内に終えれば、その60 日後、2年後以降であれば、GDP総額の85 %以上にあたる6カ国が合意に達した60 日後に発効される。参加国のGDP 比率は米国が60 %、日本が17 %ということから、両国内での国内合意は必須となる。
12 カ国間における自由貿易では、すでに参加国同士で行われている部分も多い。また施行後も製品によって関税解除まで最大30 年を要するものもあるなど、様々で複雑な条件が重なり合う。一方でグローバルバリューを生み出す効果が期待され、知的財産権など従来の枠組みを超えた「21 世紀型の経済協定」として、「人とモノの行き来が活性化する」市場作りが期待される。規模は世界GDPの約4割を占める。
4月1日には約70 人を集め、アベノミクスの現状や為替に関しみずほ銀行国際為替部チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏、クレアブ株式会社社長の土井正己氏が解説した。
唐鎌氏は米連邦準備制度理事会(FB R)や日本銀行が取る金融政策を軸にドル円為替相場の流れを説明。土井氏はアベノミクスの海外報道の姿勢を比較し、東アジア諸国との関係といった国際情勢が論調に影響を及ぼすこともある中、昨年の連邦議会演説を機に安倍政権への評価が高まったことを指摘した。
今後のアベノミクスは、政策を打ち出した政府から企業など民間部門の活動が鍵となると話す。アジア圏を含め、世界における価値の均一化の歩みに沿い、日本企業におけるグローバルメディアを活用した発信力を軸に「技術移転は惜しみなく、同時にイノベーションを進めていく」必要性を強調。「製造業、モノづくりなどで世界で評価され続けることが、日本の未来を作ります」と確固たるジャパンブランドの構築を説いた。
シアトル日本商工会のセミナーは今年3回開催。桂田健会長( 日本航空) は、時機に合ったテーマでセミナーを定期的に開き商工活動を強化し、「ビジネス、私生活につながるような活動を続けたい」と活動抱負を語った。
(記事・写真 = 佐々木 志峰)