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オーランド銃乱射事件から 銃規制問題を考える

フロリダ州オーランドのゲイクラブで12 日に発生した乱射事件は、容疑者を含む計50 人が死亡、 53 人が負傷する惨事となった。米国犯罪史上、最悪の銃乱射事件を受けて様々な議論が起きている。

シアトル警察と市政府は 21 日、市内で各行事を開催する関係者を対象とした安全対策ワークショップを開いた。

オーランドでの襲撃事件以前から計画されていた講演会だが、事件を受けて開催が早められたという。アクティブシューターに対する警戒心を日頃から高め、現れた際の正しい対応を学ぶことで、起こりうる被害を最小限にとどめることを目的とする。

20 日にはナイトクラブ経営者向けにもワークショップを行い、のべ100人が参加、いかに事件を防ぎ (prevention) 、備え(preparation) 、 対応する (reaction) べきか、過去の襲撃事件の検証を通して学んだ。

シアトル警察SWAT部隊の一員で、講師を務めたジェフ・ゲイガン氏は、「いつ、何が起きるかわからない。また銃撃事件では、非常に短い時間の間に多くの人が被害にあうことが多い。何かが起きる可能性があるということを常に念頭に置き、起こった時にどう対応するべきなのかを事前に知ることが素早い行動を可能にし、最悪の事態を防ぐことにつながる」と語った。

米国全体の動き

オーランドで起きた銃撃事件によって、銃規制の強化を 求める声が米国内で強まっている。幾度となく議論に上がってきた銃規制問題だが、今年1月、バラク・オバマ大統領が涙ながらに銃規制を訴えたことは記憶に新しい。しかし、国単位で銃規制に対して動くことはなかなかないのが実情だ

要因として、米国 憲法第2条で認められる「自己防衛のための武器所有の権利」という概念が、 一般市民の多くに根付いている点がある。また全米ライフル協会(NRA)の存在も大きい。全米で会員は500万人強に上り、銃器関連企業から潤沢な援助を受ける。支持政党の共和党議員の中にも会員が多く、政治への発言力も強い。

今年の大統領選挙では共和党のドナルド・トランプ候補はNRA協会の会員に名を連ねているのに対し、民主党のヒラリー・クリントン候補がオーランド襲撃事件後に声明を発表、銃規制の必要性を訴えた。
両候補が銃規制に対し全く異なる立場にあり、今回の大統領選の大きな争点になることは間違いない。

ワシントン州の銃規制に関する動き

ワシントン州では2014年 11 月、銃購入の際に、犯罪歴の調査を必要とするイニシアチブが住民投票にかけられ、州全体で60 ㌫の賛成を得て可決されている。また現在、銃を悪用する可能性が高いと考えられる人物の銃への一時的なアクセス禁止を、家族や警察が裁判所に要請できるようにする、イニシアチブ1491の署名活動が行なわれている。7月 8 日までに34 万 人の署名が集まれば今秋に住民投票にかけられる。

暴力抑止啓蒙を訴える研究組織「SAVIR」によると、 2015年時の銃所有率は全米で 32 %、 最も高いのがアラスカ州で 61・7%、 ワシントン州は 27・7%だった。

長らく世界を巻き込んで議論されてきた銃規制問題。国内でも様々な意見があり、一概に何が正解とはいうことができない。しかしオーラ ンドのような悲惨な出来事が起こってし まった以上、銃のあり方について再び考える必要があるだろう。

(記事・写真=竹田 優香)

N.A.P. Staff
北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。