By 佐々木 志峰
男子サッカーのワールドカップ(W杯)を昨年に終え、今年は女子の大会がオーストラリアとニュージーランドの共催で行われる。7月の開幕へ向けた前哨戦として、米国が4カ国対抗戦を2月に開催。カナダ、ブラジルに加えて日本が参加した。
フィールドで躍動する女子選手たち。だが一番の話題は、カナダの選手が同国の男女代表チームにおける待遇改善を求めた動きだった。ジェンダー平等の意味を込めて紫色のシャツを着用して試合前にアピール。試合中は紫のリストバンドを巻き、日本代表「なでしこジャパン」の選手たちも賛同を示した。
彼らの団結と、輪の広がりを目にし、頭に即座に浮かんだのが3月の女性史月間。女性の歴史的、社会的な貢献を見つめるために定められ、3月8日は国際女性の日として世界各国で記念日となっている。今大会で見せた彼らの行動も、こうした女性の立場を見直す歴史の一部となるに違いない。
日本はW杯で2011年大会に優勝。その年の3月に起きた東日本大震災から間もない中で、母国に勇気と希望をもたらした。米国との激闘をPK戦で制して優勝を遂げた選手たちが表彰台に立ち、トロフィーを掲げた歴史的なシーン。その写真を本紙でも大きく掲載した記憶がある。
米国の女子サッカーリーグでプレーする日本選手は多く、シアトルのチームには代表経験のある川澄奈穂美、宇津木瑠美両選手が所属したこともある。現在代表にはポートランド・ソーンズの杉田妃和選手、エンジェルシティーFC(ロサンゼルス)の遠藤純選手が入っている。
2月の大会で日本は1勝2敗。得失点差で2位となった。東京五輪金メダルのカナダに勝ち、15年、19年に続きW杯3連覇を目指す米国といった世界上位のチームとも対等に渡り合った。
残念なのは、日本でテレビ中継がなかったこと。W杯を前に注目が高まらない状況は歯がゆいが、7月まで時間はある。近年は好成績を残せず印象の薄いなでしこジャパンだが、女性史月間を前にした手応えをきっかけに、かつてのように盛り上がりに火が付くことを期待したい。