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次はシアトルで〜一石

By 佐々木 志峰

目まぐるしく天候が変わり、自宅から見える木々も荒々しく揺れる。6月には見慣れないような鉛色の空に覆われ、足踏みが続いた当地だったが、ようやく初夏の訪れとなった。それに合わせたように、大きな楽しみもまた、早速もたらされた。

今月2日、ペンシルベニア州で開催された女子ゴルフのメジャー大会「全米女子オープン」で、笹生優花さそうゆうか
選手が見事に優勝した。2021年の同大会に続き、メジャー大会2度目の制覇。日本選手として初めてメジャー2勝目を挙げた。

日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、21年は日本とフィリピンの国籍を持つ19歳で大会最年少優勝を果たした。その後、日本国籍を選択して試合出場。3年前はフィリピンの代表として、今回は日本の代表として大会を制した。米女子ツアーのLPGAによると、2つ別の国を代表する形で全米女子オープンを2度優勝するのは笹生選手が初めてだという。

まだ22歳。さらなる活躍が期待される。近づくパリ五輪も楽しみだ。前回の東京五輪はフィリピン代表で出場して9位。パリ大会は日本代表で出場できるチャンスを持つ。

笹生選手に加えて日本選手の活躍も際立った。2位には19年にメジャー大会の全英女子オープンを優勝している渋野日向子しぶのひなこ 選手が入った。トップ10には日本勢が計5人。21年の笹生選手優勝時はプレーオフで畑岡奈紗選手が2位だった。それ以来の日本選手によるワンツーフィニッシュとなる。

1年で5試合ある女子ゴルフの最高峰メジャー大会。今年の3大会目となる次戦は6月20日に始まるKPMG全米女子プログルフ選手権。開催地はシアトル近郊サマミッシュのサハリ―・カントリークラブだ。米男子ツアーや世界選手権シリーズの大会、全米シニアオープン、そして16年に全米女子プロ選手権。8年ぶりにビッグイベントが戻ってくる。

全米女子オープンには日本選手が21人出場したという。全米女子プロ選手権のエントリーを見ると、こちらにも12人の名前が並ぶ。大会開幕日に23歳となる笹生選手。当地でもまた大いに盛り上げてほしい。

佐々木志峰
オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。