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パイク・プレース・マーケットの歴史的建物が解体の危機

パイク・プレース・マーケットの「ハーン・ビルディング」が解体の危機にある。マーケット入り口正面に位置するレンガ造りの3階建てを解体し、新しい複合商業施設にする計画が出ているためだ。近隣の住民たちは「セーブ・ザ・マーケット・エントランス」を結成し、コミュニティーの歴史的景観を保護しようと反対の声を上げている。

同計画は2017年6月2日に所有者のマーケットビュー・プレース・アソシエイツLLCからシアトル市に提出されていた。同ビル内には現在、グリーン・トータス・ホステルと小売店が入居する。改装後はにブティック・ホテルと住居施設、小売店が併設する14階建てのタワーになる予定だ。同計画について、建物の設計を審議する2回目の会議が2月5日に開かれ、集まった4,500人以上の反対署名が提出された。

建て替え計画の詳細は、シアトル市のウェブサイトから閲覧ができる(イラスト:Ankrom Moisan Architects)

ハーン・ビルディングは、1869年にロバート・ハーン氏により1st Ave.とPike St.の角に建てられた。完成当時は1階建てで、1889年のシアトル火災による損害を免れた唯一の酒場であった。パイク・プレース・マーケットが完成した1908年に、現在の姿である3階建てに建て増し。エリオット・ホテルの名称で、クロンダイク・ゴールドラッシュのさなか、金鉱を目当てにカナダのクロンダイク地方に向かう人々の宿場として栄えた。

1986年にはマーケットビュー・プレース・アソシエイツLLCへ売却。同社が2015年に歴史的建造物としてシアトル市に申請を行ったところ却下されており、今後5年間は再申請できない。近隣の住民たちは、所有者は開発のため意図的に弱い立場を作ったと反感を示している。

ハーン・ビルディングは正式にはランドマークと見なされていない。しかし建て替えの計画が進めば、シアトルの発展と共に歩んできたパイク・プレース・マーケットの外観と通り沿いの印象が全く変わってしまうとの危惧がある。セーブ・ザ・マーケット・エントランスのウェブサイトで詳細を確認でき、反対への署名も受け付けている。

(小林真依子)

編集ライター。金融機関で勤務の後、留学のためシアトルへ。毎日の小さな「オモシロイ」を求めて日々シアトルを探索中。テクノロジーの町にいながらアナログを楽しむ関西人。