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シアトル盆踊り 今年もバーチャルで7月17日開催

今年で89回目となるシアトル盆踊りが、7月17日午後5時からオンラインで開催される。1901年から続くシアトル別院仏教会が、戦時中や公民権運動の盛んだった時期を除き開催してきたこの盆踊りは、近年は地元アメリカ人住民も多く集まる大きなイベントになっている。昨年に引き続き、YouTubeライブ配信で行われるが、今年は弁当、カクテル、お盆グッズのドライブスルー販売もある(購入は、詳細ウェブサイトにて事前予約が必要)。

シアトル盆踊り実行委員会長のロン・ハマカワさんは、「今年初めに開催方針を決めなくてはならず、地域のワクチン接種や感染状況、この夏の州のイベント規制もわからない中で、皆さんの安全を考えて今年もオンライン開催にしました」と伝える。実行委員会長を15年以上も務めてきたハマカワさんも、毎年夏の盆踊りを子どもの頃から楽しみにしている一人だ。「子どもの頃は、おばあちゃんと一緒に盆踊りへ来たのを良く覚えています。この盆踊りは、年に1回、日系人でも日系ではない人たちでも、地域コミュニティーがリユニオンする場になっています。地元を離れて州外へ移った若者でも、このお盆にあわせて帰省して、数世代の家族でそろって盆踊りにやってくる姿を見るととても嬉しいです」と、ハマカワさん。

シアトルにおける盆踊り行事の歴史は長く、伊藤一男氏著書の「シアトル百年桜(1969)」には、1900年頃から始まっているという記述がある。1920年代の日本町最盛期には、6番アベニューとメナード・アベニューを、メイン・ストリートからレーン・ストリートまでの4ブロックをぐるりと回る600人ほどの踊りの列で、やぐらは6番アベニューとメイン・ストリートの交差点に組まれていたという。初期の主催だった日本人会がシアトル市に届け出を出しての開催で、警察が交通整理を行い、日本人以外の住人も見物にくる大きなイベントだったようだ。その後、シアトル別院仏教会が主催となり開催が続けられたが、日本町でのこうした盛大な盆踊りは、1930年代に入る満州事変の頃に中止された。

長い歴史を持つシアトルの盆踊り。今年はオンライン開催ではあるが、この日系コミュニティーの歴史を、自宅から楽しんで体験してみてはいかがだろうか。

盆踊り配信サイト: www.youtube.com/c/SeattleBonOdori、詳細:https://seattlebetsuin.com/vsbo21

(室橋美佐)

北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長。上智大学経済学部卒業後、ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から現職。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。