全米テレビ芸術科学アカデミーのノースウエスト支部による2016年度エミー賞受賞式が3日に開かれた。数々の表彰の中で第二次世界大戦の日系兵士のストーリーを描いた短編アニメーション『An American Hero: Shiro Kashino』が、 歴史・文化特別プログラム部門で受賞。 脚本担当のローレンス・マツダさんらが表彰を受けた。
同プログラムはシアトルチャンネルが制作。当地に縁ある日系人部隊経 験者6人の経験を描いたグラフィックノベル『Fighting for America: Nisei Soldiers』が原作で、 NVC財団とウイングルーク博物館が共同で発表した。受賞作品は最初のストーリーにあたるシロー・カシノさんの 経験を取り上げている。
受賞を受けてマツダさんは、「歴史の中で第二次世界大戦の日系人のストーリーはしばしば忘れられてきています。この賞が日系人のストーリーがいかに重要かを物語っています」と語る。
マツダさん自身は初ノミネートでの受賞。授賞式では監督のシャノン・ジーさん、映像のランディー・エンさんらと賞を分かち合った。小説でデザインを担当したマット・ササキさんのグラフィックも受賞の大きな要因になったとも話し、「今後テレビ業界を志望するアジア系米国人に良い 影響となれば」と続けた。
地元日系関係者や関連作品も各賞でノ ミネートされており、シアトルチャンネルからは、地元グラフィック・アーティストのKENTAYAさんを追ったドキュメンタリー映画『Community Stories: Enfu』や地元太鼓団の活動を描いた『CityStream: Taiko!』などが選ばれていた。
関係者によると、シアトルチャンネルでは、『Fighting for America: Nisei Soldiers』から2人目として、フランク・ ニシムラさんを取り上げた作品制作を進めている。今秋のNVC財団のイベントで初公開される予定という。
(佐々木 志峰)