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インターナショナル・ディストリクトで 建築物の高さ制限緩和なるか

文:室橋 美佐

エド・マリー市長は、4月14日、シアトル市議会に対し、チャイナタウン・インターナショナル・ディストリクト(チャイナタウンID)の一部区画を、Mandatory Housing Affordably (MHA)の区域として指定する法律制定を提案した。MHAは、指定区域内において、不動産開発時に低所得者向け住宅を一定以上の割合で併設することを定めるものだ。一方で、低所得者向け住宅の供給数を満たせば、不動産開発業者は建築物の高層化が許容される。チャイナタウンIDでMHAが制定された場合、当エリアで、現在よりも三階ほど高く伸びるビルが建設されることになる。
市長は、「MHAは、より多くの市民が住みやすい街にしていくものだ」と強調する。

MHAは、チャイナタウンIDに限らず、これまで市内の他地域でも議論されてきた。サウス・レイク・ユニオン地区や、ダウンタウン地区については、すでに提案が可決されている。しかし、両地域では、MHAの意図とは逆に、住宅価格の上昇が見込まれている。

近隣市民団体であるYesler Community Collaborative代表のクー・ドリス氏は、「当団体は、シアトル市内の急速な不動産開発に伴う住宅価格の上昇で、周辺住民が経済的な理由で転居しなければならない事態を避けるように、市にアプローチしてきた。市長のMHA提案は、我々の要望に沿うものだ。市議会が、提案を速やかに可決するようにむ望んでいる」と、述べている。

シアトル市は、今後10年間にわたって、5万戸数の新規住宅建設が実施されることを目標とし、そのうち2万戸が低所得者向け住宅として建設されることを目指している。

室橋美佐
北米報知社ゼネラル・マネジャー兼北米報知編集長。上智大学経済学部卒業後、ハイテク関連企業の国際マーケティング職を経て2005年からシアトル在住。2016年にワシントン大学都市計画修士を取得し、2017年から現職。シアトルの都市問題や日系・アジア系アメリカ人コミュニティーの話題を中心に執筆。