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3月行事、本紙も

東日本大震災から間もなく6年目を迎える。本紙3面では、震災後、音楽を通じた支援を続け、地元コミュニティーのネットワーク作りにも貢献したソング・オブ・ホープの田形ふみさんのインタビューが掲載されている。

同活動から派生したコミュニティー合唱祭は11日にベルビューチルドレンズアカデミーで開かれる。それに先立ち、5日にはインターナショナル・ディストリクトの和み茶室で被災地支援行事「スマイル・フォー・ジャパン」が開かれる。音楽などの舞台パフォーマンスに加え、ブースアクティビティーや米クセールなど、さまざま楽しめる行事になっている。それぞれ詳細はカレンダーページへ。

3月は地元日系社会の新年行事も佳境を迎え、春のファンド行事へと向かう。今週は各日系教会ですき焼きディナーなどが開かれる。

こうした多忙なコミュニティーの日程の中で、本紙でも11日にブックイベントを企画している。

日系人小説『ノーノー・ボーイ』の新訳版が昨年12月に出版されたことを受け、訳者の川井龍介さん(60)によるブックイベントを主催する。同本のブックレビューは本紙4面、また小説に関しても本紙で連載してきている。

舞台は1940年代後半。第二次世界大戦を終えたばかりのシアトルを主とし、ポートランドなども含まれる。さまざま複雑な歴史的事情が重なった社会構造やアイデンティティーの葛藤を描いた一冊だ。

この本を通じて、多岐にわたる日系社会や日系人のすべてを学ぶという類のものではない。現在にまで通じる人種、国籍、差別、偏見、苦悩。強者と弱者の考えの違い。様々なものを感じ、考え、普遍的な部分を共感できるのではないか。

川井さんは、毎日新聞を退社後、米国新聞社で短期経験、その後フリーランスとして活躍してきた。当地には何度となく足を運び、トミオ・モリグチ本紙発行人をはじめ、日系関係者を取材している。各所の日系ゆかりの地にも足を運んでいる。最近では、フロリダの日系関係者への取材を記したルポ『大和コロニー フロリダに「日本」を残した男たち』(2015年)も上梓している。

午後1時から3時まで和み茶室で。行事が重なる多忙な週末だが、多くに参加してもらいたい。

(佐々木 志峰)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。