女性の人権尊重を呼びかける権利デモ「シアトル・ウィメンズ・マーチ2.0」が1月20日、シアトル市中心部で行われた。参加者は「プッシーハット」と呼ばれるピンクの猫耳ニット帽やピンクの服を身に着け、それぞれのメッセージを手に行進。小雨の中、10万人以上がキャピトル・ヒルのカル・アンダーソン・パークに集合し、ウエストレイク・パークを通過後、ゴールのシアトル・センターまでの4.5マイルを歩いた。通りはピンク一色で埋め尽くされ、声を上げる人々の熱気に満ちていた。
ウィメンズ・マーチはトランプ大統領就任式翌日の昨年1月21日、ワシントンDCで起きた50万人の抗議デモが始まり。女性蔑視や卑猥な発言をしていた新大統領への反感を示した、女性を中心とした運動だ。今や全米各地のみならず世界に飛び火。日本でも東京や大阪で行われている。
シアトルでは当日、シアトル市警察のバイクに先導され、ワシントン州先住民族による団体「Missing & Murdered Indigenous Women Washington(MMIWW)」がマーチの先頭を率いた。MMIWWの人々は先住民女性の行方不明や殺害被害、また民族迫害を訴え行進した。SNSでセクシャル・ハラスメント被害を公表するハッシュタグ(検索の目印)、「#MeToo」を書いたプラカードも見られた。また入国禁止命令対象となった中東諸国や、不法入国移民救済のためのDACA政策廃止の権利を訴える姿も目立った。
2回目となった今年の行進では、「反トランプ」から「PowerToThePolls(投票に力を)」が世界共通のテーマ。人々に投票の重要性を呼びかけ、女性の権利を支持する人を増やすのが目的だ。女性だけでなく、移民や有色人種、LGBTも多く参加し、社会的マイノリティーの声を示す新しい女性運動が、どう社会に影響を与えていくのだろうか。
文:小林真依子